西浦
□バッテリー/アベ→←ミハ
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「ったく、お前おせぇんだよ!
俺を待たせんじゃねぇよ!!」
俺様気質なやつの第一発言かこれ。…流石というべきか。
「…はっ?!ってかなんでいるんすか!?」
「…あ!?いちゃわりぃかよ!
お前に、どーしても聞きたいことあってわざわざこの俺がお前なんかのために待っててやったんだよ!!
…ってかお前あん時待ってろって言ったよな!!」
あん時?………あぁ武蔵野と浦和総合の試合を見に行ったとき確かそう言われた気もする。
「んで、なんなんすか?
俺これから用事あるし暇じゃねーんでとっとと済まして貰いたいんですけど。」
「おっ前マジで生意気だな!!!
…ったく、まぁいい。俺も暇じゃねぇしな。
うだうだ話すのも好きじゃねぇし単刀直入に聞く。
お前満足してんのか?」
「…はっ?」
「こんな一年しかいない野球部で満足してんのか?って聞いてんだよ!!
俺の球見ただろ?
あの球捕れる奴がいねぇんだよ。
お前は生意気だけど捕手力としては少しだけ認めてやってたんだ!!
なのにこんな一年しかいない所で俺の球捕ってたお前が満足してんのか?」
今までの会話からガラリと表情を変えて聞いてきたから、俺も真剣に答えた。
「満足してますよ。
確かに一年ばかりでまだチームとして足りない所ばっかりだけど、俺は今この西浦での野球を楽しんでる。
俺は、俺のつまんねー考えを変えてくれたやつを勝たせてやりたい、そいつを活かしてやりたいって思ってます。今は、あんたじゃなくてそいつを!!
だから俺達は勝ち上がりますよ!!
いくら速い球投げても、このチームであんたを越えます。」
「…はっ!!言うじゃねーか!!!
俺は強いぜ?
まぁせいぜい楽しみにしとくわ!!
聞きてえことはそんだけ!!
じゃぁな、邪魔したな」
そう言って背中を向け後ろ手で手を挙げながら何事もなかったように帰っていった。
その様はまさに嵐が去るとはこのことだと思うくらいにどっと疲れを感じた。
俺と榛名が話してる間、三橋は−…少し離れた所でずっと首を下に伏いたままだった。
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