西浦

□旅立ち/アベ→ミハ
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駅には三橋のお見送りをするために集まった仲間達。
その中で三橋は笑ってる。
仲間達に囲まれ、たわいない話をして、一年の時は滅多に見れなかった三橋の本当の笑顔が時がたつにつれこんなにも近くで見れるようになった。



皆との談笑後あいつらしく感謝の気持ちばかり述べて、時計を気にしだす。

「じゃぁ…もう行くね…」
三橋の淋しそうな、でも笑いながら言う言葉に心臓が速まったのが分かる。



「最後はさやっぱり阿部が見送ってやれよ♪」

突然田島が俺の方に振り向いて言う。

「だな。お前ら三年間バッテリー組んだんだしな」

「俺ら全員がホームまで行ってもこの人数だし邪魔なるだけだろ、だからさ。」

「はい、阿部の分の切符。」

「…田島、泉、花井、栄口…わりぃ、サンキュー」

俺の気持ちを誰かに告げたことはない、だけどこいつらはもしかして気付いていたのかもしれない。
その証拠に切符を渡されながら「頑張れよ」っと栄口に言われたから。


「最後なんだから喧嘩なんかすんじゃねーぞ」
っと仲間うちに笑われながら言葉を背に 三橋の鞄を持ち
一緒にホームへと歩き出した。










ホームで電車を待つ間、
沈黙を先に破ったのは三橋だった。


「俺ね、阿部君に<行ってこい。頑張れよ>って言われたのが本当に嬉しかったんだよ」

「…あぁ」


「阿部君と野球、したかった…。ずっと。それは今も、同じ気持ち。
だけど俺 強く なりたい」

「分かるよ。お前の気持ち」


「あ、阿部君と出会えてよかった。
…ウグ
あ、あべ君と野球できて おれ …おれ本当に楽しかった。
みんな、優しくて
だけど、や、やっぱり
あべく 1番 優しかった。
おれの 球 ずっと 信じてくれて、
ずっと ずっと 捕ってくれて
ほんとに あ、ありがとう」


皆に囲まれてた時だって泣いてなかった三橋が
ずっと我慢してたのか、
何かが外れたように泣きながら懸命に俺にありがとうって言う。

俺の方がありがとうなのに、
俺だってお前に言いたいこと沢山あるのに、

「あぁ」しか言えなかった。
きっと今何か話せば俺も壊れたように泣いてしまうから…
今日は笑って見送りたいんだ。
こいつが頑張れるように、
誰よりも応援したいから…


三橋はまだ伏いて俺の腕を掴み泣きながら俺にありがとうを言う。
そんな三橋の姿に泣かないよう我慢する俺も下に伏いてしまう。



その時、電車が訪れる音が鳴り響く。



三橋にこれだけは言いたくて、
これだけは言わないといけなくて、


三橋が電車の中に入る直前俺は叫ぶように告げた。


「三橋!!
またな!!!絶対、…ッ絶対連絡しろよ!!!!!」

我慢してた涙が邪魔して声が上擦んでしまったけど、笑って、

<さようなら>なんか絶対しねぇ!!


「…!!
うん、する!!絶対、れ連絡する!!
また、…またね!!
阿部君、またね!!!」





結局伝えたかった気持ちを言うことはできなかったけど。
一番伝わってほしいことを手紙に託す。

どうか伝わってほしい。
おれはお前を応援してるってこと・・。





桜の花びらが舞い降りる中・・

俺は三橋が去った線路をただ見つめていた。







《泣いて帰ったら許さね−かんな!!
頑張れよ!!!

お前と出会えてよかった 》



→end
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