稲妻11

□生意気ボーイ!
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『あっ虎丸!』

またきちゃった!と笑顔で俺に手を振る

俺がイナズマジャパンの選手に選ばれてから、幼なじみである同じ年の彼女は毎日のようにこの練習場に足を運んでは俺たちイナズマジャパンのお世話をしてくれる

それは凄くありがたいし。俺にとっては嬉しいことでもある。俺は彼女が好き。でも鈍感な彼女は俺の気持ちになんてこれっぽっちも気付いてないんだろうなきっと。

『秋さん、今日はなんのお手伝いをしましょう?』

「今日はね、そんなにやる事ないんだ。だからベンチに座って彼らの練習みててくれる?」

『あ、はいっ任せて下さい!』

そう言ってベンチに座る彼女を見計らって水を飲むフリをしてベンチに向かう

自分の水が入ったボトルをとり口の中に水を含みながら横目で彼女を見やると、真剣なような、ぼうっとしてるような彼女の顔が目に入った

「どうしたの?」

『…や、虎丸はいいな』

「何が?」

『いつも、豪炎寺さんといられて』

羨ましいよ!と少し照れたように笑う彼女を見て思わずボトルを持っている手から力が抜けた。するとボトルは重力に逆らうことなく地面にぶつかり水が溢れ出す

『ちょっ、虎丸?』

「なにそれ」

『え?』

「そんなの聞いてない」

俺が落として土で汚れたボトルを拾おうとする彼女の手が止まる

『聞いてないって…何を?』

「豪炎寺さんが好きなんでしょ」

『なっ、えっなんで…!?』

もおやだ、なんで分かったの、と赤くなった顔の前で両手をパタパタさせる彼女だが、今の俺にはそれさえイライラさせる材料でしかなくて。

「好き」

『え?』

間抜けな顔をして顔を上げた彼女の手を自分の下へと引き抱きしめる

「ずっと前から好きなんだ、お前のことが」

『えっええ!?でも私豪炎寺さんが…んっ!?』

これ以上なにも言わせまいと、彼女の唇を俺の唇で塞ぐ

ちゅっ

数秒して顔を離すと、そんな可愛らしいリップ音が耳に届いた

『な、ななっ…!?』

先程よりも赤くなった彼女の顔を見て俺の中を満たすのは満足感。

「これから、覚悟してよ?」

『とっ虎丸のバカ!!』

バチーン!という爽快な音と同時に俺の頬を痛みが襲う、3秒前。




生意気ボーイ!
(まあ、)
(意識されただけよしとしようか。)

END

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