完ペキサッカー少年とおバカ少女物語

□君のぬくもり
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「ここは――がついてるからこうなる訳だが…」


只今、私は1時間目の授業を受けております。

かりかりかりっ、とノートを取っている音と少しのお喋りをするクラスメートの声を聞きながら、頭に手をあてもんもんと考える私


あっ、授業の内容についてではなくてですねっ…!
さっきみんなに暴露してしまった私の気持ちについて…

私はいいとしても(いや全然良くないんですけど恥ずかしいんですけどね!)、豪炎寺君にとっては迷惑になってしまうのでは…と今更そんなことが私のめったに使わない頭の中を支配していた

チラリと、現在進行形で私の頭の中をハイジャックしている隣の彼をみやれば。


『やっぱりカッコいい…』

ほう、っとうっとりした息をはくと、徐に豪炎寺君の切れ長の目が動き此方を向いたので、必然的に目が合うことになり、ドキリと心臓が跳ねる


「何だ?」

『…え?』

「さっきから人の顔ばかり見て、何か用があるんじゃないのか」

『え、あ!』

授業中と言うこともあり、極力声を抑えているようだが、豪炎寺君が発したその言葉は私の耳にしっかりと届き、私の頬を熱くさせる

『え、とっ、その、さっきはその…』

「そこの喋っている女子!」

急いで言い訳じみた理由を述べようとした時、授業を教えていた先生の声が聞こえ前を向けば私を指さしていた

「お前は確か、今日転入してきた桜木だな?」

『は、はい!』

「じゃあ、喋っていた罰と実力試しにこの問題を解いてみろ」

と黒板に少し乱雑な字で書いてある問題を先生が顎で差し、はいと躊躇いながら返事をし黒板の前まで歩いていく

黒板の前にたどり着くと、みんなの憐れみの視線と、大丈夫か、という私を労っているであろう言葉の数々を背中に受けながらチョークをもち問題を心の中で読み上げていく


『…』

「「「…」」」


私が考えている間、何故かしーんと静まる教室

なんか…余計にへんな威圧感を感じるのは気のせいかな…


ごめんなさい、分かりませんと後ろからの圧力に耐えきれず、そう発せようとすれば、それを遮るかのように横から伸びてきた小麦色の腕が未だにチョークを持つ私の手をとりカツカツと音を立てて、黒板に書いてある問題の答えを解いていく

驚くことも忘れ、すらすら書かれていく答えに感嘆していればどうやら書き終わったようで、私の手を掴んでいた手が離された


「これでいいですか、先生」

耳もとで聞こえた聞き覚えがありすぎる声に肩口から素早く声の主の顔を覗きこむように振り向けば、そこには先ほどから私の頭をハイジャックし続けている豪炎寺君の顔が。


「あ、あぁ、当たっているが…」

豪炎寺君は驚いるのか困っているのか、微妙な顔をした先生に黒板からはずした目を向ける


「俺も喋ってましたし、一緒に解いてやらないと桜木が不公平でしょ」



そう言って先生を見やる豪炎寺君が、遠くに見えた気がした






君の温もり
(どうした桜木!?)
(…気を失っているようです)
((気絶かよ!))
(保健室に連れて行きます)
(((……これはまさか…!)))

 

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