[]シスター・イズ・マイン

□1.噂の彼女
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チャイムがショートの終わりを告げ、教室のドアの近くの男子が朔奈を呼んだ。
「おい朔、客! 超絶美人の子だけど、どーゆー関係!?」
その男子はからかいながら、近づいてくる朔奈の肩をバシバシ叩いた。
「バーカ。」
叩いてくる男子の手を払いのけて、朔奈は見知らぬ女の子と教室を後にし、気になった千夜子はこっそり二人を尾行した。

「ちょっと待てって、里奈!」 少し荒い口調で朔奈は美少女の名前を呼んだ。里奈は朔奈の声に反応して、ピタッと足を止めた。そして、ゆっくりと振り返って朔奈を見る。
「なーに、朔ちゃん?」
可愛らしい声だった。声だけじゃなく、顔も仕草も。ふわふわな栗色の長い髪をおさげにした色白でか弱そうな里奈。
千夜子は近くの壁に付いていた鏡を覗く。真っ黒、真っ直ぐな至って凡庸な髪型。何の個性もない顔つき。
千夜子は、朔奈の隣の席になって浮かれていた自分を恥じた。
「“なーに?”じゃねぇよ! 弁当渡すのに、何でこんなところまで来なきゃならないんだ!」
『弁当を渡す』。
その朔奈の言葉を聞いて、千夜子は固まった。
‥‥同居!!?
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