小説(長)
□TURN0.750 決闘
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―――ブリタニア帝国ペントラゴン
ライは、ラウンズの任命を受けたあの日以降、取材等の職務によって殆んど眠れない毎日を送っていた。
(皇族がラウンズに任命される事がそんなに珍しいか。それに、意味の解らない貴族達まで最近寄ってくる。)
ブリタニア皇族には、貴族が後ろ楯に就く事が多々ある。
支援している皇族が次代の皇帝に就いたときに色々な工面をしてもらう為である。
(ティムとの約束もあるから、出来る限り後ろ楯は就けない様にしなくちゃな。)
そんなこんなで考え事をしている内に研究所兼宿泊施設の建物に到着する。
「ただいま。」
「お帰りなさいませ、殿下。」
一言挨拶を言いながら扉を開けて中に入ると、ライの秘書兼オペレーターの少女マオが挨拶をしてきた。
「今日の予定は全て完了した。明日のタイムテーブルを教えてくれ。」
自室に向かいながら、数歩後ろを歩くマオにライは明日の予定を訊く。
ライとマオがライの部屋に入り、ライが椅子に座った瞬間にマオが再び口を開いた。
「明日は、朝から軍本部に来るように皇帝陛下から勅命が下りました。」
「皇居ではなく?」
「はい、軍本部との事です。」
ライはラウンズに任命されてから、何度となく勅命が下ったが、そのどれも皇居の皇帝の間に来いという内容だった。
「何をされるかは、言われませんでした。ただ、軍本部に来いとだけです。」
「わかった。その次は?」
「それだけなので早く終われば、後は現時点ではオフです。」
「そうか…、ありがとう。君も今日は上がって良いよ。」
「はい。……それと、明日はKMFを本部に持参するようにとも言っておられました。」
「ナイトメアを?合同メンテでもやる気か…。わかった、それじゃ念のため明日は君とティムを連れていく。そう彼にも伝えておいてくれ。」
「彼の明日のタイムテーブルは如何しましょうか?」
「君に任せる。」
「わかりました。それでは、失礼します。」
そう言ってマオはライの部屋を出た。
(一体、陛下は何を考えていられるのだろうか?)
マオが出ていって、一人になった部屋でただ黙々と考えているライだった。