書庫(拍手)
□2010年5月
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『泳げよ泳げ太郎鯉』
「うぬおぉおぉ、来てくれてありがとうよ。坂田銀時でっす!わりいがあまりかまってやれねえからさ」
「月詠でありんす。世間では“ごーるでんういーく”だそうじゃな。せっかくの休みなんじゃ、ゆるりと過ごしてもらいたい。わっちらか?仕事じゃ。貧乏暇なしとはよく言ったものじゃ。あ、そこの銀時は玉なしじゃったかの」
「変なこと言ってんじゃねえよ!もう、元サヤに収まってますぅ!ちゃんと直してもらいましたから!」
「銀時は苦しそうにしておりんす。なぜかと言えば、かぶき町で“人間こいのぼり”なる催しをしておるのじゃ。それで銀時は人間こいのぼりとして頑張っておるわけじゃ。こういうことが出来るのも、膂力が並外れておる銀時じゃからかの」
「バカ言ってんじゃねえ。こっちだってなあ、限界てモンがあるだろがよ。うおう!風が吹いてきた。何か棒がみしみし言ってんだけど」
「ああ、そよ風じゃな。心地よい風がわっちを包むかのごとく、そよいでおりんす。春風というものはこんなにも、人の心を爽やかにしてくれるんじゃな」
「バカか、てめえは!春風どころか春の嵐になりつつあるじゃねえか。もちっとマシなボケをかませねえのか、テメエはよ。めっちゃ体が揺れてるもの。めっちゃ物とか飛んできてるもの」
「き、気のせい、でありんす。ほれ、その証拠に皆が楽しそうに泳いでおるぬしを見ておるではないか。期待は裏切ってはならぬ」
「それ、絶対ハプニング狙いだから!何か強風でグルグル回ってくれればいいのにとか、こいついつまで耐えれるだろうとか」
「・・・ふう、銀時、それが期待というものではないのか?ぬしが頑張れば、わっちも心ばかりの礼をと思うておるのに」
「いよおおしぃ!!!お前、その言葉忘れるんじゃねえぞ。腕がちぎれても、俺はコイツを離させえぞ!」
「おお、さすがじゃの。子供たちも銀時の姿を見習って強くなるんじゃ。それを身をもって銀時は子供たちに示してくれておりんす。この姿を目に焼き付けよ」
「オイイイィィイ!!!言ってる口調が棒なんだけどぉ。ちょっと中の人ぉぉ、本気出して感情込めて!じゃねえと、浮かばれねえって」
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