書庫(長編) 第二巻

□其ノ拾
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一方、坂田銀時は西高にて眠りこけていた。何とも間抜けなものであるが、よだれを垂らしながら眠る姿は非常に滑稽であったろう。それに構うことなく、銀時は惰眠を貪っていた。やがて、銀時も眠ることに飽きたのか、むくりと起きた。


「ふあ、ったくよ、どうしてこんなに眠いんだチクショウ。こりゃあれか?またの成長期か何かか?」


銀時は頭をポリポリとかきながら、ボーッと外を見つめていた。どうして百華を助けたのだろうか?銀時は自分に納得がいく説明を心の中で始めた。


(ほれ、百華を襲うなんて聞いたらさ、助けねえといけないじゃん。そのままにしておくと、寝覚めが悪いっていうか)

(まあ、何ていうか、弱いほうを助けないとダメだろよ。それに女をよってたかって・・・というのは銀さん的にアウト!というか)


自分の中で言い訳をして、妙に気恥ずかしくなってしまう。何で言い訳をするのだろう?銀時自身、それがわからない。考えたとこで何も出ない。学校も終わったところだし、さっさと戻ろう。銀時が学校を出ようとしたそのとき、一人の男が銀時に駆け寄ってきた。



「大変です。うちの生徒が他校の生徒に絡まれて」

「ケンカか?それなら、当人同士で決着付けなさい」

「ケンカじゃないです。数十人に囲まれてて」

「ふ〜ん。で、どこだよ?」

「案内します」


銀時は案内する男の後をついていく。しかし、一向に着く気配がない。


「おい、どこだよ。まだ着かねえのか」

「もうすぐです。あ、見えてきました」


そう言われたのは、大橋の下である。男の言うとおり、数十人の男たちが囲んでいるのが見える。銀時は下りていって、囲んでいる男たちに声をかける。


「西高のモンだけど、囲みはやめた方がいいなじゃね?ケンカレベルなら、もっと少ない方がいいだろうし」


声をかけられた男たちは振り返る。囲んでいた輪が開いていく。


「そうそうそうそう、わかってくれると信じていたよ。銀さんは」

「わかっているさ、坂田銀時。今日はお前に用があってな」


どんどんと人数が増えてくる。銀時は後ろを振り返る。後ろからも湧いてくるように、人数が集まってきている。


「うっわ、銀さんモテモテ〜!むさ苦しい方にかよ。いやいや、どうしたもんかね」

「調子付いているヤツにはな、制裁しねえといけねえ。てなわけで、それに同意した西高以外の皆さん方がお集まりだ」

「いやいや、アホの集まりだわ。どうにもなんねえか」


銀時を囲むように、どんどんと人数は増えていく。まるで餌に群がるアリのように。


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