書庫(短編)

□恋愛は当人たちより周りの人たちがやきもきする
2ページ/4ページ

ここは吉原。その幾人かに声が聞こえる。


「あ〜、天の声から一斉。月詠の動向についてどう思うか?」

「あら、何かしら?いきなり聞いたことのない声が聞こえてくるんだけど」

「母ちゃん、オイラ怖いよ。おかしくなっちゃったのかなあ」

「頭のことについて?何でこんなのが聞こえてくる?」

「これ、何なんですか?何でいきなり頭のことを聞いてくるんで?」


そんな感じで、月詠に関わり合いのある者たちは天の声からの質問を受けた。天の声は気まぐれであり、選んだ人選も無作為である。まあ、これも天の声の気まぐれであるから、何とも言えないが。


「そうねえ。見た感じ、そんなに変わってないとは思うけど。でもまあ、あの子の場合、微妙な変化でもうちらにしてみれば大きな変化だしねえ」

「とはいっても、月詠姉の動向って言ってもなあ。あ、そういえばさあ、何か時折、月詠姉がすごくご機嫌な時があるらしくて、そんな時に頼みごととかすると、快くやってくれるよ」

「へー、そうなのかい。そりゃあ、万事屋の連中に会ってるときかもねえ。いや、銀さんと特定してもいいかも」

「でもさあ、あの二人、そんなに進展してないと思うよ。だって、二人して『ひのや』に来てても素っ気無いし」

「もし、あの二人がそうした関係だとしてももどかしいね。まあ、月詠にとっては初めての恋なんだから、銀さんがしっかりとリードしてあげないと」

「頭は最近、ちょっと鼻歌を歌うようになってきたよな。どこからか、何か聞こえてくるなと思ったら頭だったし」

「何と言うか、感情が徐々に出始めているとは思うんだけどなあ。以前は感情の起伏は激しい方ではなかったような。まあ、うちらから見れば、変わらないといった感じなんだけど」

「聞こえてる者は聞いておいて。ていうか聞け!単刀直入に言うぞ、いい年した男女が、中学生的な付き合い方をしておる。それが坂田銀時と月詠というカップルだ。お前らで何とか中学生的な付き合いを卒業させてほしい。以上!・・・あ、ちゃんと果たさないと、頭パーンて吹き飛ぶから」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ