書庫(短編)

□いつの間に時は過ぎ
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のどかな陽の光が差し込んでくる。


「いい天気じゃの」

「ああ、だいぶ温かくなってきたしな。気持ちよくて、食の進み具合もよくなってくるし」

「ぬしに関しては、いつもと変わらぬではないか。毎日毎日、同じ絵を見ているようじゃ。甘味をほおばり、いちご牛乳を口にする。いくつになっても変わらぬ」


そう言って、月詠は微笑んだ。言われた坂田銀時は、気にすることなく食べ続けていた。二人は“万事屋銀ちゃん”内でゆっくりとした時間を過ごしていた。

神楽はエイリアンハンター、志村新八は道場主として万事屋を離れていた。

神楽はエイリアンハンターとして、目覚しい活躍を見せていた。宇宙でも知らぬ者はいないほどで、なかなか地球に戻ってくることはなかった。最後に会ったのは、何年も前のことだった。

新八は道場主として、子供たちを中心に剣術を教えていた。しかし、ふと漏らした子供たちへのツッコミが大いに受け、子供のみならず大人たちも道場に通うようになっていた。しかし、剣術よりもツッコミの方が受けているため、剣術道場というよりはツッコミ道場の体を成していた。


「神楽や新八も忙しいっていうし、あいつらに会ったのなんて・・・いつだっけかな?しばらく見てないから、変わってたりしたらわかんねえかも」

「それは変わるだろうさ。ぬしの髪なぞ、すっかりと真っ白になっておるし。年月の流れというのは、残酷であるからな」

「銀さん、もとから白髪です〜!」

「まあ、そうなんじゃが。何というか、ツヤ?というか、コシ?というか、何というかクタッとしておる。そればかりは歳月を感じさせるようじゃな」

「俺ばっかり言ってっけどよ、お前だって髪に白いのが目立ってきてんぞ」

「ん?ああ、そう、じゃな。ぬしが年を取るのなら、わっちも一緒に年を取る。当たり前のことじゃ、神楽も新八も立派になっておるじゃろう。晴太も立派になっておるし」

「だよなあ、この前会ったときなんて、すっかり大人になってたしなあ」

「晴太も二十歳をとうに超えておりんす。背もわっちよりも大きくなった。ぬしよりも大きいのではないか?」


晴太は大きく成長した。バイトしていた“大人のおもちゃ屋”で店長を任せられ、母の日輪譲りの押しの強さと商才をもって、店を何店舗かに拡大させていた。

さらに恐ろしいのはその成長ぶりである。少年時代を吉原で過ごした晴太は、無意識のうちに女心を操れる手管を持っていたのである。

久しぶりに会った神楽は『チャラい男はキライアル』と言いつつも、満更ではなかったみたいだし、しっかりと?晴太も成長しているようであった。
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