書庫(短編)
□男なら魂に届くまでドリってみろ!
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月詠は坂田銀時に呼ばれて地上に上がって来た。何事かあったのかと思いながら、『万事屋銀ちゃん』の戸を開ける。
出迎えた銀時の表情は暗く、月詠の心を不安にさせる。ちょっとやそっとでは動じる気配すら見せない銀時の顔を曇らせているのは何であるのか。
「よぉ、よく来てくれたな。今日はお前に頼みたい事があってだな」
「何があったのだ。ぬしがそんなに暗い表情をするとは。よほどの事があったんじゃな」
力無くコクンと頷く銀時に、月詠は辺りを見回してから話を続けた。
「神楽がさらわれたのか?」
「そんな物好きいるかぁぁ!あいつが誘拐されるタマか?いや、酢昆布ちらつかせりゃいいのか。って、神楽さらわれてねえから!公園に遊びに行ってるだけだから」
「じゃあ、新八か?」
「なおさら有り得ねえよ。あいつはお通ちゃんのコンサートでいねえから。いい加減、誘拐ネタから離れてよ。誘拐されたって、身代金なんて払えねえんだから。頼みごとってのは俺自身の問題だ」
「何じゃ、言ってみなんし」
「聞いても怒らない?」
「何も聞いてないうちから約束など出来ぬ」
「聞いても帰ったりしない?」
「…ああ、分かった。約束する」