書庫(短編)
□恋愛は当人たちより周りの人たちがやきもきする
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ここはかぶき町。その幾人かに声が聞こえる。
「あ〜、天の声から一斉。坂田銀時の動向についてどう思うか?」
「あ、お前誰アルか?何で銀ちゃんの動向について喋らなきゃいけないアルか?」
「あんた誰ですか?何でいきなり心の中でしゃべくってんですか?」
「お登勢様、これはどうしたことでしょうか?知らない声が聞こえてくるんですが」
「お前もかい?聞こえるんだよねえ。聞き覚えのない声だよ、これは」
「ワタシ、何モ聞コエテナイデスヨ!不公平ジャナイデスカ」
「え、何なんだよ。変な声聞こえるから、馬券の枠、間違っちまったじゃねえかよ!」
「あら、何かしら。聞き覚えのないこの声は?ねえ、猿飛さんは聞こえる?」
「何?全然聞こえないわ。もしかして、銀さんなの。銀さんが新しいプレイを考えてくれたの?」
「猿飛さん、変な事言わないでね。ぶっとばすわよ」
「局長、あれですかい?新手のテロですかい?」
「そんな声など聞こえはせん!万事屋のことよりもお妙さんが、お妙さんのことが、俺には気になるんじゃああ!」
「何だ、これは。まさか、まさか俺はセブン○ンシズにでも目覚めたか」
そんな感じで、銀時に関わり合いのある者たちは天の声からの質問を受けた。天の声は気まぐれであり、選んだ人選も無作為である。まあ、これも天の声の気まぐれであるから、何とも言えないが。
「う〜ん、そうアルな。よく地下には行くし、ツッキーと一緒にいるみたいアル。けども、ヤツらは中学生カップルアル。思い合ってても、それを素直に出せないアル」
「そうですねえ。普段とは変わらないけど、明らかに月詠さんとは会っているみたいですね。僕たちと一緒のときもあれば、一人で行くときもあるし」
「銀時様ですか?変わってないですね。家賃の催促には、決まっていなくなりますし」
「銀時かい?付き合いは長いからねえ、あのバカとは。あいつは平然としてるけど、分かるんだよ」
「銀さん?まあ、付き合いが微妙に悪くなったような。誘っても、今日は用事がっていなくなるしな」
「銀さん?普段と変わらない気がするけど」
「万事屋のこと?そんなのはどうでもいい。あ、トシ!何か変な声が聞こえて、万事屋についてって聞いてるんだが。面倒臭いから、トシ答えてくれ」
「何で俺が。全然、変な声聞こえないし。別にヤツのことなんて。ぬあああっ、近藤さん、何しやがるっ!」
「ツールコネクトォッ!!」
「近藤さん、え、何これ。変な声が聞こえる」
「じゃあ、俺もツールコネクト〜」
「何してんだ総伍!」
「まあ、銀時とは付き合いが長いからな。あいつの心の変化など手に取るようにわかる。・・・で、何かあった?」
「聞こえてる者は聞いておいて。ていうか聞け!単刀直入に言うぞ、いい年した男女が、中学生的な付き合い方をしておる。それが坂田銀時と月詠というカップルだ。お前らで何とか中学生的な付き合いを卒業させてほしい。以上!・・・あ、ちゃんと果たさないと、頭パーンて吹き飛ぶから」
異口同音ながら、この声を聞いた人々は思った。
「え?最後、丸投げじゃね?」