書庫(蜃気楼)

□柔らかな風に抱かれて
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「ずっと抱いていたから、苦しかったでしょ?ちょっとは休まないとね」

「ううん、そんなことなかったよ。新八様こそ、大変だったでしょ?ゆっくり休んで」

「う、うん、じゃあ、そうさせてもらうかな。よっと、うわあ気持ちいい」


横になった新八は空を見上げた。気持ちのいいほどに青空が広がっている。そして、横を見やるとパンデモニウムが微笑んでいる。すごく満ち足りた、いい時間が流れていた。そんなとき、パンデモニウムが新八に話しかける。


「新八様、私を連れ出してくれてありがとう。私、こんなに嬉しいこと初めてだったから。そして、私を女の子にしてくれた。そんなあなたに出会えたことがすごく嬉しい」

(うわ、やばいよやばいよ!本当に可愛すぎる。僕、ドキドキが止まらないよ。こんなに惹かれていっていいの?)


新八はざっと周りを見回した。周りには誰もいない。新八は気持ちが抑えられなくなっていた。横にいるパンデモニウムを抱き寄せると、そのまま唇を重ねた。パンデモニウムは突然のことで、目を見開いたままで固まってしまった。


「し、新八様?」

「あ、うあああううあああ!!!ごめん、パンデモニウムさん、いきなりこんな事しちゃって」

「ううん、急にだったからびっくりしただけ・・・。嫌じゃないよ?新八様と、え、と、こういう事、するの」

「ごめんね、パンデモニウムさんを見ていたら、その柔らかそうな唇を見ていたら、抑えられなくなっちゃって」

「謝らないで、私は嫌じゃないよ。ううん、むしろ、してほしい。新八様の唇も柔らかくて、私は好きなんだもの。って何、私、変なこと言っちゃってる。ごめんなさい、こんなじゃないのに、ごめんね、新八様」

「・・・・・・いい。パンデモニウムさんも謝らなくていい。そう言えば、パンデモニウムさん、この姿でキスをしたのは初めてだったね」


しばらく、新八とパンデモニウムは見つめ合った。パンデモニウムは潤んだ瞳で新八を見つめる。この破壊力は相当なもので、新八は吸い寄せられるようにパンデモニウムに再びキスをした。
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