書庫(長編) 第二巻
□其ノ捌
1ページ/4ページ
銀時からの忠告を無視していたわけえはないが、逃げるということは出来なんだ。そして、百華の集会当日。集会所では、メンバーが楽しげに集まっておりんした。それを見て、わっちも自然と顔がほころんだ。
「総長、今日は何事もなければいいですね。近頃はうちのチームに入りたいという者もいるみたいです」
「そう思ってくれるは嬉しいが、しっかりと吟味するんじゃぞ。百華が何たるかをしっかりと知らしめよ」
「はい、それはもちろん!」
副長の蓮華が応える。最近では、百華に入りたいという女子が多数おりんした。しかし、百華に入るということは、イバラの道を歩くに等しい。生半可な覚悟では、百華の一員としてつとまるはずもない。
頃合を見計らい、わっちは全メンバーを集めた。
「今夜、わっちらを襲撃するチームがおる。数は前回の数倍はおるらしい。これを聞いて、引き返す者はおるか?応か否かで答えよ。引き返す者は?」
「否!」
「数倍の敵に対し、毅然としてこれに抗するか?」
「応!」
メンバーの表情が変化する。強張ってはおるが、気後れた様子は見当たらぬ。このメンバーであれば、間違いなく互角以上の戦いができる。わっちはそう確信した。
「総長、それは本当で」
「情報があった。来ないならそれでよし。しかし、それが先に延びるだけじゃろう。ならば、今、来てもらった方がよい」
「確かに」
「これに勝てば、わっちらに手を出しづらくなろう。正念場になるじゃろう。わっちらも相当の被害は覚悟せねばならぬ」
「耐え切れるでしょうか?」
「耐えるだけではない。勝つのじゃ。勝たねば終いじゃ」
蓮華はこの戦いの意味・重さを認識した。とはいえ、わっち一人では抱えきれぬかもしれぬ重さを、仲間が支えてくれる。それが嬉しくもあり、ありがたかった。
やがて、バイクの走行音が響き渡る。予想はしていたが、凄まじい爆音だった。これより始まる苦難の戦い。それを告げるに相応しいものでありんした。