書庫(長編) 第二巻

□其ノ捌
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銀時からの忠告を無視していたわけえはないが、逃げるということは出来なんだ。そして、百華の集会当日。集会所では、メンバーが楽しげに集まっておりんした。それを見て、わっちも自然と顔がほころんだ。


「総長、今日は何事もなければいいですね。近頃はうちのチームに入りたいという者もいるみたいです」

「そう思ってくれるは嬉しいが、しっかりと吟味するんじゃぞ。百華が何たるかをしっかりと知らしめよ」

「はい、それはもちろん!」


副長の蓮華が応える。最近では、百華に入りたいという女子が多数おりんした。しかし、百華に入るということは、イバラの道を歩くに等しい。生半可な覚悟では、百華の一員としてつとまるはずもない。

頃合を見計らい、わっちは全メンバーを集めた。


「今夜、わっちらを襲撃するチームがおる。数は前回の数倍はおるらしい。これを聞いて、引き返す者はおるか?応か否かで答えよ。引き返す者は?」

「否!」

「数倍の敵に対し、毅然としてこれに抗するか?」

「応!」


メンバーの表情が変化する。強張ってはおるが、気後れた様子は見当たらぬ。このメンバーであれば、間違いなく互角以上の戦いができる。わっちはそう確信した。


「総長、それは本当で」

「情報があった。来ないならそれでよし。しかし、それが先に延びるだけじゃろう。ならば、今、来てもらった方がよい」

「確かに」

「これに勝てば、わっちらに手を出しづらくなろう。正念場になるじゃろう。わっちらも相当の被害は覚悟せねばならぬ」

「耐え切れるでしょうか?」

「耐えるだけではない。勝つのじゃ。勝たねば終いじゃ」


蓮華はこの戦いの意味・重さを認識した。とはいえ、わっち一人では抱えきれぬかもしれぬ重さを、仲間が支えてくれる。それが嬉しくもあり、ありがたかった。

やがて、バイクの走行音が響き渡る。予想はしていたが、凄まじい爆音だった。これより始まる苦難の戦い。それを告げるに相応しいものでありんした。
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