書庫(長編) 第二巻

□其ノ拾
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「それにしてもツッキー、ド派手な戦いやったみたいネ」

「まあ、確かに」

「うちはなぜか警察に追われてたアル。行く道行く道、検問やらパトカーばっかりで」

「もしかしたら、わっちらが戦った奴らの差し金やもしれぬ。百華と夜兎が友好関係にあるのを知っていたのやも」

「え、だったら殺処分するしかないネ。ツッキー、そいつら誰アルカ?」

「言えば本当にしかねないからの。ぬしらは。まあ、わっちらの方で決着はつけたし、許してやってくんなんし」

「ええ、色々なとこに追っかけられて、イライラが溜まってるアル。どこにそれをぶつけたらいいアルカ?最近、相手してくれるトコがなかなか見つからないヨ」


神楽はそう言って嘆く。見た目はそういう言葉を言いそうにはないのに、口から出るは毒舌のオンパレードじゃった。おそらく、今日は間違いなく夜兎が動く。それは確信に近かった。そんな中、神楽が話題を変えた。


「そういやツッキー。お前らのトコに助っ人がいるんだってな。確か・・・“万事のGINCHAN”って言ったかなあ?そんな感じの」

「あ、ああ。万事のGINCHANは確かにおりんした。じゃが、あのときは気まぐれで助けてくれたようなモンでありんす。じゃが、あの助っ人のおかげで、わっちらは勝てたようなものじゃ」

「それじゃあ、強いのカ?万事のGINCHANってのは」

「ああ、強い。わっちの十倍、いや、百倍は強いでありんすな。近くで鳥肌が立つほどでありんした」

「すっげえな!そんなに強いのか、ツッキーがそう言うなら相当なモンネ!ツッキー、呼んでヨ、その万事のGINCHAN。勝負スルネ」

「神楽、残念じゃが、万事のGINCHANは通りがかりの助っ人なんじゃ。わっちらの仲間ではないし、呼ぶことなど叶わぬ」


残念がる神楽を見て、少しばかり可哀想な気もしたが、こればかりは仕方ない。わっちが望んだとて、必ず来てくれるとは限らない。それに、わっちらはそんなに深い仲ではないし。
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