書庫(長編) 第二巻

□其ノ拾壱
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攻撃を受けながら、銀時は考えていた。自分はこんなにも恨みを買っていたのかと。まあ、自分のやりたいようにやってきたし、それに対する妬みや僻みなんだろうかとも考えた。だから、この状況は好ましくない。

銀時は両足の痛みをこらえ、勢いよく立ち上がった。そして攻撃をしている男たちを片っ端から打ちのめした。

力の続く限り、鉄パイプを振るい続ける。踏ん張りが効かない中、目の前にいる相手を倒れるまで。

銀時の攻撃を食らった男たちは不意を衝かれた形になり、防御をする暇もなく倒れてしまう。やがて、銀時の周りにいる男たちは全て倒れた。

銀時はまだ立っている男たちを睨み付ける。血走った眼で睨み付けられ、男たちは蛇に睨まれた蛙状態になっていた。


「次はてめえらだ。おいぃぃぃ、ぶっ殺してやっから来やがれ。こっちから行くのはメンドウだからよ」


満身創痍、出血もひどく、鉄パイプを杖代わりにして立っているのがやっとの状態である。負けるはずがない、一人の男が木刀を振り上げて、銀時に止めを刺そうと向かってきた。

そのとき、銀時の目が鋭く相手を捉えた。間合いに入った瞬間、鉄パイプが何本も見えるかのように凄まじい連続攻撃が繰り出された。

みるみるうちに、男は傷だらけになっていく。お構いなしに、銀時は棒立ち状態の男に容赦ない攻撃を放つ。終わったとき、見るも無惨な姿に変わり果てた男が、前のめりに倒れた。


「はっ、バァ〜カ。弱ってるなら、自分一人でも倒せると思ったかよ。一人一人なら、てめえらみてえな三下に遅れは取らねえんだよ」


男たちはあらためて銀時の強さに恐れを抱いた。確実に倒さなければいけない。一斉に攻撃を仕掛ける。

銀時はニヤリと笑いながら言った。


「もう、きついかな」


銀時も奮戦するが、数が多すぎた。最後は背後に回った男が、銀時の後頭部を思いきり打ち下ろした。

銀時はガタガタと震えながら膝をついた。力なく鉄パイプを落とし、前方へと倒れた。

男たちは銀時に無慈悲な攻撃を加える。憎らしい存在が倒れたことにより、狂喜したからと、また起き上がってこられたときの恐怖からであった。

動かぬ銀時に向かって、何度も何度も男たちは攻撃を加える。血だらけになってもなお、それはしばらく止まなかった。


「もういいだろう。こちらも怪我人がたくさんいる。連れて帰るぞ」

「こいつは?」

「ほっておけ。しばらくは動けねえだろ」


男たちは怪我人を連れて、その場を後にする。身動きしない銀時を見て、男の一人は言った。


「一人をやるのに、こんな人数やらないとダメなんて。こいつはバケモンか?」
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