書庫(長編) 第二巻

□其ノ拾弐
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坂田銀時の容態は、数日変わりがなかった。わっちは何度か様子を見に行っていた。

銀時は目を覚ましてはいなかった。わっちは見つめていた。銀時が目を覚ましてくれることを期待して。


「銀時、もう十分に寝たでありんしょ?そろそろ、目を覚ましてくんなんし」

「・・・」


銀時はまだ目を覚まさない。命には別状ないというが、傷だらけという状態では五体満足で退院できるか分からない。

もしかしたら・・・銀時はこのまま目を覚まさないかもしれない。わっちは最悪の事態を予想した。

医師からの話もよいものとは言えなかった。


「大丈夫だとは思うけど、以前のようにはいかないかもしれない。それだけ、怪我の具合は深刻だからね。月並みではあるが、本人次第という他はないな」

「そう・・・ですか」


わっちは陰鬱な気持ちで病院を後にする。

それから数日後、銀時の意識が回復したとの知らせを受けた。わっちは急いで、集中治療室に駆け込んだ。そこには起き上がって、ぼんやりと辺りを見ている銀時の姿があった。


「お、お前か。何か久しぶりだな。ほれ、見てみろよ。包帯やら何やらで、銀さんミイラ状態よ」

「ぬし、五日もずっと寝ておったんじゃぞ。体の方は大丈夫か?」

「これ見りゃ、全然まだだろよ。しばらく安静にしてろって。暇でたまんねえわ」

「そう言うでなし。しっかり体を治すためじゃ」


銀時はため息の後、思い出したように話題を変えてきた。


「そういや、病院まで付き添ったらしいじゃん。ありがとよ、まあ、そこらへんの記憶がないんだけど」

「ぬしが倒れておるのを、大橋の上から見かけたんじゃ。その髪の色ゆえ、もしやと思うたが」

「いやあ、あまりにやられすぎて死んじまうかなって思ったけどな。運がよかったんだなあ、あはは」

「あははではありんせん!ぬし、しばらく意識がなかったんじゃぞ!いったい、何があったんじゃ?」

「大告白大会」

「はあ?」

「俺って、めちゃめちゃモテルらしいんだわ。呼び出されて、数十人、いや百人くらいはいたかな?まあ、けっこうな奴らから、猛烈なラブコールをもらったわけよ」


自嘲気味な笑みを交え、そううそぶく銀時を、わっちは何と言うたらいいか、わからなんだ。


「まいったぜ、多分、西高とかどうなってんだろな。行ったらメチャクチャになってんだろな」

「ぬしは西高の番でありんしょ?心配することはないじゃろ」

「俺はそうは思ってねえ。まあ、一人でいるのが基本だからな。どっかの傘下とかになってんだろ」


わっちに出来ることはないか。銀時の状態を見つめながら考えていた。
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