書庫(長編) 第二巻

□其ノ拾参
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銀時が退院した頃、西高は大きく変わっていた。銀時を襲撃した者たちの圧迫が強くなっていた。これを巡って、西高内部はもめていたが、結局は屈するという意見が大勢を占めることとなった。

西高は他の高校の支配下に置かれることになった。銀時の健在時は独立を保っていた西高が、彼の不在によって簡単にそれを捨てた。いかに銀時の存在が大きいかを物語っている。

銀時が退院し、数日の後、学校にやってくることになった。


「おい、坂田さんが今日来るってよ」

「どうすんだ?今、主流はよその高校と繋がるのがいいってことだけど、それを坂田さんがどう思うかだろ」

「んなの、承知しねえだろ。それに、今の西高なんて、ふざけんなって反対派をぶっとばして」

「坂田さん次第ってことか」


生徒達はあれこれと想像を膨らませる。この高校における銀時の実力・影響力の強さがわかる。そんな中、銀時が学校にやってきた。銀時はすぐに学校の雰囲気が変わっているのを感じ取った。


「何とまあ、息苦しい感じになったなあ。変わりすぎだろ」


銀時に表立って近付く者はいなかった。避けているという感じであった。

銀時はこの状況でも、特に問題はなかった。自身に火の粉が降らない限りは。

銀時の様子に、周囲の者たちが注視していた。どういう行動に出るか、それが気にかかっていたからだ。西高は他の高校に従っていることを銀時がよしとしないと思っていない、そう思っていた。

ぼんやりと外を見つめる銀時に、数人の男たちがやってきた。


「お、おい、坂田。てめえ、もう治ったのかよ」

「おかげさまでな」

「お前が支配していた西高は終わったんだよ。これからは西高は俺が占めさせてもらう。文句はねえだろうな?」


銀時はジロリと男たちを睨みつける。男たちは怯んだ。見れば銀時の力にすがりつき、おべっかを使ってきた者たちばかりであった。もとから信を置いていたわけではなかったが、こうも態度を一変させるとはと銀時は心の中で笑いをこらえられなかった。


「ああ、好きにしてくれよ。俺だって、もうあんな目にあいたくねえしな。おとなしくさせてもらうわ、まあ、お前らの好きにしとけ」

「へ、そうかよ。それが妥当な選択だ、なら俺らに絶対の服従を・・・」


これを聞いた銀時は男たちとの距離を詰める。男たちは銀時の迫力に思わず後ずさりしてしまう。


「俺はおとなしくしている。だけどな、俺の自由を邪魔するってんなら話は別だ。分かってんだろうが?俺が一番嫌なことくれえ、知らねえお前たちじゃねえはずだが。知らねえってんなら、もう一度教えてやってもいいんだけどな」

「く、ううぅぅぅ、とにかくお前は西高の番じゃねえんだ。今までのような勝手はできねえからな、バカなお前でもわかるだろ。次は本当に死んでしまうからな」


男たちは去っていった。銀時は一息ついてから、めんどくさそうに頭をかいてからどうしたもんかと考えを巡らしていた。
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