書庫(記念・企画)

□レッツ水練
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大江戸プールにおいて、様々な事が起こりすぎた。坂田銀時は、普段持ち合わせていない気苦労で必要以上に疲れていた。


「もう、嫌だわ。こんなのやってられんわ。想定した事態の斜め上ばかりいきやがる」


銀時がぼやくのも無理はない。しっかりと勤め上げようとした矢先、知り合いらの常識を遥かに超えたプールの使い方。さらに、将軍・徳川茂茂の突然の来訪もあった。

バレてはいけないと孤軍奮闘するも、空回りするばかりだった。

残ったのは、兵どもが夢のあとと言わんばかりの惨状であった。何でこうなったんだろう、銀時は記憶を巻き戻して考える。


「オイ、オイ、銀時」

「あ?何だよ」


銀時に声をかけたのは月詠であった。沈んだ表情の銀時を見かねてのものだった。


「どうしたんじゃ?みんなで楽しく遊んでるというに。ほれ、ぬしも入らぬか。それに、いつの間にやら人たちもまばらじゃ」

「それはね、君たちの斜め上すぎる行動の結果ですよ」


将軍は帰ったものの、騒動の渦中にあった者たちは変わらずプールで遊んでいる。銀時を除く男性陣は、将軍によって海水パンツを切り裂かれたので、プールにあるものをもらっている。

ふと、銀時は月詠の方を見る。黒のビキニという出で立ちは、あらためて月詠のスタイルのよさを認識するに十分であった。まさに、デカプリ娘という称号に相応しい、銀時はそう思った。


「どうした。そんなに見て」

「お前、何か違うな」

「は?何を言っておるんじゃ。わっちはいつもと変わってはおらぬぞ」

「ほれ、ここ」


銀時は月詠の頭を指差した。月詠が髪をアップにしていることに気付いたのだ。銀時に指摘され、月詠は妙に嬉しさを覚えてしまう。


「そんなに変わってはおらんじゃろ。後ろの髪を上げておるのは同じじゃろうし」

「まあ、そうなんだけどよ。何か違うんだわ、言葉にするのは難しいんだけども」

「そ、そうで、ありんすか?」

「そこは素直に喜んでいいんじゃね?」


しばらくして、銀時は腹部を押さえて苦しみだす。心配そうに月詠が声をかける。


「オイ、銀時、大丈夫か?しっかりしなんし」

「やべ、急に腹が痛く、なっちまった。あとよ、お前、ローション持ってきてんだろ?」

「ああ、確かに持っておるが」

「わりいが、管理人の更衣室へ連れていってくんねえか?途中で月詠はローションを持ってきて」

「そのように具合が悪いなら、病院に行った方が」

「そこまではガマンできねえ。早く」


月詠は銀時に付き添う形で、プールを後にする。まずは月詠たちの更衣室へと向かった。
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