書庫(長編)

□其ノ陸
2ページ/4ページ

行きつけの書店でジャンプを買い、店を出てしばらく歩いたのち一騒動が起こった。

高校生に囲まれた子供が一人。子供は身なりが小さく、それを責め立てる様に銀時は頭で反応するより早く、体が動いておった。先ほど買ったジャンプの角で思い切り、高校生側の後頭部を叩いた。一撃を食らった者は、倒れ伏せてゴロゴロとうめき回っておりんした。


「てめえ、何しやがんだ」

「はいはい、そこまでですよ〜コノヤロー。よってたかって、恥ずかしいことしてんな。おとなしく、ジャンプでも買って読んでなさい。じゃないと、銀さん、何しでかすかわかんねえぞ」

「銀さん?てめえのこと、銀さんって」

「おい、あの天パ・・・」

「ああ?・・・もしかして」

「間違いねえ、坂田銀時だ」

「話の内容はだいたい分かってるから。そうせ、お約束な反応だってのは表情からわかるもの。はい、お引き取り願いましょうか」

「・・・う、てめえ、この人数で勝てるとでも思ってんのかよ」

「この人数でって・・・ええと、5〜6人だろ?逆に俺が聞きたい。この人数で勝てる気してんの?おたくら」


反論しようにも、にらみつける銀時の眼光の鋭さに、高校生の者らは完全に飲まれてしまいんした。すごすごと退散するしか選択肢は残されてはおらなんだ。倒れた者を連れて、高校生らは退いていった。

残された少年に向かって、銀時は言葉をかけた。


「よお、坊主。大丈夫だったか?いたずらはけっこうだけど、相手と人数選んだほうがいいぜ」

「いたずらじゃないやい!ちょいとあいつらの財布を盗んだだけさ」

「オイイイイ!!!いたずらにしちゃあ、レベルが悪いほうに振り切ってんだけどぉ」

「でも、助けてくれてありがとう。で、お礼させてよ。オイラの家は少し先にあるからさあ」

「へえ、盗み働こうとしたガキにしちゃあ、礼は知ってるんだな。あ、銀さん、甘党だからそこんとこよろしく」

「うん、わかった。じゃあ、案内するね。ついてきて」

「兄ちゃん、名前は何て言うの?」

「俺は坂田銀時。通りすがりの西高の現役高校生で〜す」

「オイラは晴太。ちょいとおちゃめなお子様だよっ!」

「いやいや、高校生の財布を盗むのはおちゃめじゃないから。財布盗るのはおちゃめじゃなくて、思い切り犯罪だからね」

「あのね、銀・・・」

「銀さんでいいから」

「銀さん、この事、うちの母ちゃんには黙っていてほしいんだ。母ちゃん、ちょっと体の具合が悪くて、この事知ったら」

「言わねえよ。お前の顔見たらわかるから。まあ、ガキの時分にはそういう悪いこともやりたくなる年頃だしな」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ