書庫(長編)

□其ノ拾
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『a・ma・to』焼き討ちを決めた、坂田銀時・桂小太郎・高杉晋助・鳥尾小耶太の4人は、情報収集に明け暮れた。

a・ma・toの規模から警備態勢に至るまで、事細かに調べ上げた。情報収集において、a・ma・toに勤務している江戸の人々からの証言は大いに役立った。

内部を知っている協力者のおかげで、銀時たちは深くa・ma・toの実情に触れることができた。そして、銀時たちが集まった会合の席で、高杉が決行日を提案した。


「決行日は、今月の27日の深夜はどうだ?」

「27日?」

「何でその日にするんじゃ?」

「a・ma・toの従業員に聞いたところ、27日は幕府高官を招いて宴が催されるって話だ。それが終わって、気が抜けたところを襲う」

「確かに一理ある。とはいえ、警備はいつにも増して厳重になるのは間違いない。そんな中、俺たちだけで大丈夫だろうか」

「んな事言っても始まんねえだろ。俺らが無勢なのは分かっていた話じゃねえか。それに、宴が終わったあとに俺らが宴を催すんだろ?楽しそうじゃねえか」

「決まりだな。あとは役割分担か。俺と桂で火を点ける。銀時と小耶太はおとりということでどうだ?」

「まあ、いいんじゃね。あれこれ考えなくてもいいわけだし」

「だな。それでええぞ。あとはやるだけじゃ、いい宴になりそうじゃの」

「宴は10時に終わるらしい。主要なヤツらがいなくなって、手薄になるのは0時過ぎ。それを狙って仕掛ける。銀時と小耶太は暴れまわって、注意を引き付けろ。その隙に俺と桂で火を点ける」


大まかな段取りはこれにて決した。その後、面々は実行に向けての準備に余念がなかった。

そして、決行日当日。集まった面々は一様に強張った表情を見せる。平静を装っていても、緊張や不安は拭いきれなかった。


「おい、ヅラ。顔が強張ってんぞ。そんなんで大丈夫かよ」

「馬鹿を言うな。これから大事を成そうとしてるんだ。それに対して、心が高揚しているだけだ。お前だって、震えているではないか、銀時」

「全然、プルってないんだけどぉ。武者震いってヤツなんですぅ」

「おいおい、直前で逃げてくれるなよ。ただでさえ、人数いないってのに。物はしっかりと揃えてある。あとは手筈どおりにな」


各人が事の大きさを十分すぎるほど分かっているからこそ、平常ではいられなくなる。

日は落ちゆき、夜の帳が下りていく。男たちはa・ma・toの周辺に場所を移した。そこでかねてからの計画どおり、高杉・桂、銀時・小耶太は別れて待機することになった。
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