書庫(長編)
□其ノ肆
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ビフィズス乳酸菌が善玉菌側に加わったことは、腸内戦争に大きな変化をもたらした。
腸内バランスが極端に悪玉菌側に傾いていた以前とは違い、ビフィズス乳酸菌が加わったことにより、善玉菌側の勢力が増したためである。しかし、割合的には悪玉菌側が優勢なのは変わりない。
悪玉菌側は対応策を話し合った。
「善玉菌のヤツら、だいぶ調子に乗ってきやがったな。チョロチョロと飛び回っているみてえだ」
「あの、ビフィズス乳酸菌が来てからだな。あれが来てから、押され気味になってるし」
黙って聞いていたボス格の悪玉菌は、一通り聞いた後に口を開いた。
「殺るか殺られるか。乾坤一擲の勝負に出るしかねえ。ちまちまと勢力争いすんのもまどろっこしいしな。勝てばよし、負ければそれまで。分かりやすくていいだろ?」
悪玉菌がこれを聞いてざわめきはじめる。無理もない。ここまで圧倒的優勢な状況であったのに、有無の一戦をこちらから仕掛ける側に回ることになったのだから。
「いいか、近日中に仕掛ける。それで決めるんだ。それに・・・あの、ビフィズス乳酸菌。いいじゃねえか。あいつの苦痛に歪む顔や、悶える表情やら想像すると、心が急いてくんだよ。たまんねえほどに」
一方、善玉菌側。ビフィズス乳酸菌は言い知れぬ悪寒に身を震わせていた。
「どうしたよ?具合でも悪いんか?」
「い、いや、何でもありんせん。身震いしただけでありんす」
「そっか。ならいいんだけど。ビフィズス乳酸菌が来てから、うちらは勢力を盛り返してきてる。本当にお前らのおかげだ。ありがとな」
「わっちらは何も。ぬしらが力を尽くしたものが、ようやく形になってきたんじゃ。わっちらは、たまたま居合わせただけ」
「謙遜すんなって。お前らが来てくれたおかげで、ここまで持ち直したんだ」
善玉菌側は悪玉菌側とは対照的に盛り上がっていた。ビフィズス乳酸菌が加わったことにより、勢いを増した善玉菌側は次々と悪玉菌側を圧していった。
「浮かれてんじゃねえ。あいつらが本腰入れてねえだけだ。本腰入れてきたら、こんなもんじゃ済まねえだろう。近いうち、大がかりにドンパチするのは間違いねえ」
「わかってるけど、しばらくずっと押されっぱなしだったし、少しくれえ」
「だめだ。来るのは目に見えてんだからよ」
善玉菌側は悪玉菌側とは対照的に盛り上がっていた。ビフィズス乳酸菌が加わったことにより、勢いを増した善玉菌側は次々と悪玉菌側を圧していった。
「浮かれてんじゃねえ。あいつらが本腰入れてねえだけだ。本腰入れてきたら、こんなもんじゃ済まねえだろう。近いうち、大がかりにドンパチするのは間違いねえ」
「わかってるけど、しばらくずっと押されっぱなしだったし、少しくれえ」
「だめだ。来るのは目に見えてんだからよ」
そう言って、善玉菌は他の善玉菌に気を引き締めるよう指示した。その側にビフィズス乳酸菌が歩み寄った。
「どうじゃ、悪玉菌は攻めてきそうかの?」
「ああ、今までとは比べ物にならないくらい、大規模な戦いになる。だが、これを越えたら」
「越えたら?」
「勢力図は大きく変わる。だから、次の戦いは負けられねえ」
「気負うのはよいが、あまり入れ込むな。入れ込みすぎると、足元をすくわれてしまいんす」
「ああ、わかってるさ」
善玉菌、悪玉菌が予想したとおり、腸内の勢力図を決定付ける一大決戦が起ころうとしていた。