書庫(長編)

□其ノ拾伍
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雷刃隊が誇る三人の勇士が酒宴にて戦うことになった。隊士らは、はらはらしていた。怪我しないうちに終わってくれないか、など三人の無事を祈るものがほとんどであった。とはいえ、隊士も数がいれば様々な考えがある。中には、月詠がポロリしてくれないかと期待しながら、はらはらする者もいた。

“白夜叉”、“神速の鋭峰”、“死神太夫”の二つ名で呼ばれた三人。坂田銀時、鳥尾小耶太、月詠は激しくぶつかり合った。


「うぅらああっ!」

「こっちもじゃ!」

「ほらほら、もっとガンガン来いってば。そんなんじゃ、女一人も満足させらんないよ」


組み手のように銀時と月詠はぶつかり合った。月詠は酔っているからか、拳の軌道が不規則になる。これが銀時を悩ませる。

小耶太も死角から、足払いなどで月詠の動きを止めようとするが、それを察知されて失敗に終わる。


「こやたぁ♪、死角からヤろうったって無理ぃ!私にゃ身体中に目があゆんだ。やめとき」

「惑わされんな!ハッタリだろが」

「銀時、こりゃ、つくちゃんに痛い目見せるしかないのぉ」


小耶太の目がスーッと細くなる。


「やったらぁ、こげに埒がいかんなら、ヤってしまうかないけえの。おい、月詠!わしゃあ、がいに怒っとう」

「小耶太、おめえ」

「っとんだらあぁぁぁっっ!!!」


小耶太が銀時の視界から消えた。次の瞬間には月詠と拳を交えていた。月詠も予想を遥かに超える小耶太の速さに困惑した。


「ちゃいちゃいちゃいちゃぁぁい!!」

「くっ、このっ!」


月詠は裏拳を放つが、彼女が認識した空間に、小耶太は既にいなかった。


「おっそいのぉ、こんなぁ。そげなんでわしと戦ろうてか」

「てめ、ぐうっ」

「早いんじゃダボが!」


左手で月詠の喉を掴むと、高々に上げてからの、のど輪落としで地面に叩きつけた。


「ぐうっ!」

「終いじゃ!」


月詠は辛くもこの場を逃れ、天高くジャンプした。


「こんなっ!」

「小耶太任せとけ!はあああっっっ!!!」


銀時が月詠を追ってジャンプした。普通の人間では出来ない跳躍力であった。月詠は追ってきた銀時を迎え撃つ形で対した。


「りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ」

「たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた」


拳の交わる音とともに、二人の掛け声が聞こえる。隊士らは様子を声や音でしか知ることが出来なかった。


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