書庫(長編)
□其ノ参
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完全に動きが止まった坂田銀時と鳥尾小耶太。これを見ていた月詠は口を開いた。
「はい、ワ〜ン、トゥ〜、スリ・・・」
銀時と小耶太は勢いよく起き上がった。後頭部をさすりながら、二人は起き上がった。
「ったく、いきなりジャーマンスープレックスかけてくるたあ、何てアマだよ」
「じゃが、ちゃんと抑えるトコは抑える。なかなかの使い手じゃ。わからんヤツじゃったら死んどったけえ」
「ぬしら、まだ続けるかの?であれば、ドラゴンでもタイガーでもジャパニーズオーシャンサイクロンでも、好きなものをお見舞いしてやりんす」
「冗談やめてえええぇえっぇっぇ!!!死んじゃうから、特にジャパニーズオーシャンサイクロンなんてやられたら、ほんにょ、銀さん死んじゃうにゃら!」
「銀時・・・お前、まだ頭がらられちょるけえ、あにゃま冷やしぇ」
「小耶太、おめえもだよ。おめえも頭冷やしんす。おい、濡れタオルかなんか持ってきてくれ」
「とりあえずは矛収めるしかねえ。もう一発食らったら、復帰希望もらったとしても、蘇生できる確約はないけえ」
「だな。で、ジャーマン女。何しに戻ってきやがった。ここは危険な場所って言ったはずだけどな」
「一宿一飯の恩義がある。それを返さねばと思っての」
「そいつは殊勝な心がけで」
部下が持ってきた濡れタオルで、後頭部を冷やしながら銀時は月詠を睨みつける。それを気に止めることなく、月詠は銀時と対峙している。
「まあ、詳しい話は中で聞かあや。とにかく詳細を知らんと」
「いや、どちらかといえば、ぬしの刃傷沙汰に及びそうなほどの、いちごへの執着ぶりが聞きたいのじゃが」
「どちらにしろ、話は聞かにゃあならんけえ、はや中へ入れや」
小耶太に促され、月詠は建物の中へ入った。そこには銀時と小耶太、数名の幹部がいた。あらためて、銀時は月詠に質問をしようとするが、逆に月詠からの質問を受けた。
「わっちからすれば、中心人物が刃傷沙汰をしようとしておるのに、止めようとせぬ事が腑に落ちぬ。何故じゃ」
「それは、わしら二人のケンカは他の奴らじゃあ止めれんけえの。遠巻きに見るしかないんじゃろ」
「で、ケンカの原因の、いちごは何なのじゃ?ケンカを止めたわっちにも聞く権利はあると思うが」
銀時と小耶太はバツの悪い顔をする。しかし、頭をかきながら銀時が話し始める。それは子供時代へと時はさかのぼる。