書庫(長編)
□其ノ肆
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わっちらは『夜兎』との思いがけぬ合同集会を終えた。ケンカを売ってくるチームはいなかったからか、楽しく走ることが出来んした。気の合う仲間たちと共に走れば楽しいものじゃ。心地よい昂揚感と共に、わっちは眠りについた。
そんな中、わっちは夢を見ておった。
「よお、何してんの?こんなトコで」
「ぬ、ぬしは。ああ、そうじゃった。助けてもらってありがとう。礼をせねばならぬな、何がよい?」
「そうだなあ、うん?お前、キレイな顔立ちしてんな。じゃあ、お前がいい。お前を俺のモノにする」
「な、何を・・・。わっちにそのような事を言われても」
「だ〜め、異論は却下」
そこでわっちは目を覚ました。何故にあの男の事を思い出してしまうのか。しかもあのような夢を。わっちはもう一度ふとんを被って寝ることにした。とはいえ、自分が見ていた夢の内容を思い返すと、気恥ずかしさのせいで眠れずにいた。
「何故にあの男の顔が出てくるんじゃ。助けてくれただけというに」
夜が明けて、わっちは副総長の蓮華と会った。銀時に助けられたときより、わっちは百華の者たちに情報を探すように指示をしておった。
蓮華と会ったわっちは、さっそく銀時の情報を聞いてみた。
「総長、あの男はそうとうな有名人ですよ」
「ほう、そんなに名が知れておるのか」
「名前は坂田、銀・・・いや、金だったかな?どっちだったかな?」
「おい、本当に有名なのか?始まりから疑問符ではないか」
「えと、じゃあ、金時で。坂田金時でいきたいと思います。西高に通っており、そこの番格だそうです」
「なるほど、西高じゃったのか。しかも、番格とはな」
「しかもその男、色々な噂が立っているみたいですよ」
銀時の噂、そのことについてわっちは大いに興味を示した。あの乱闘騒ぎにおいて、たった一人で向かっていた度胸のよさ。そして、誰も手出しできなかった、あの威圧感。銀時の後ろで歩いていたとき、わっちには恐怖感などなかった。むしろ、妙な安心感を持ってヤツの後ろを歩いておった。
「で、蓮華。ヤツの、金時の噂というのはどのようなものじゃった?」
「それが、有象無象の類を含めれば様々でして。情報を聞いていまして、本当にこれが一人の男なのかと思うほどでして」
「何でもよい。とにかく、話してくんなんし。それを聞いてから、真贋を見定めるゆえな」