涙の別れ
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「紗夜カラオケ行こ!!」
「良いけどあんた今日誕生日じゃない」
「土方君用事有るって…」
そっか、と言うが紗夜はそれ以上何も聞かなかった。
紗夜は私の親友だ。明るくて男女共に友達が多い。なので
「紗夜、咲羅ちゃんカラオケ行くの?」
「なら一緒に行こーよ」
と言う男子も少なくはない。
「アハハハハ良いよ−でもあんた達の奢りね」
「マジカよ!!でも俺今日リッチだから良いぜ!!」
「行こ、咲羅」
男子達と先に行く紗夜に続き、歩き出すと
「俺も良いかな?」
と1人男の子が話しかけてきた。彼は私のクラスで1番のモテ男で女の子からは大人気だ。
しかし断る義理など無いので一緒に行く事にした。
しばらく歩くと彼が
「ここ良くね?」
と立ち止まる。そこはアクセサリーショップで外見もなかなか可愛らしい。
「ホントだ。覗こうよ!!」
と紗夜は男の子達と入って行ってしまったので、私もモテ男の彼と入る。
中には可愛らしいアクセサリーが沢山並べてあって、どれも手頃な価格だ。
−これ良いな−
手にとってアクセサリーを眺めるとずっと私の隣に居た彼がヒョイとアクセサリーを私の手から奪い、レジへ向かう。
しばらくして私の元に帰って来た彼はラッピングされているであろうアクセサリーを私に渡した。
「ハッピーバースデー」
「あっ…ありがとう…」
突然の事で混乱する私を見てフッと笑う彼の顔はとても綺麗で
−なるほど、モテる訳だ−
と感心していた。
幸せは脆くて儚い
「咲羅!!」
名前を呼ばれ、振り向くと土方君が
「土方くっ…」
その時、隣に居た彼に抱き締められる。
「離して!!」
彼の腕を払いのけようとすると
「トシ、どうしたの?」
横から現れた知らない女の人。
嘘…なんで…
それを見た瞬間、私は彼の腕を払いのけるのをやめた。
ただ、彼に抱き締められながら、土方君から目をそらした。