涙の別れ
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色々有った夏休みが終わって2学期が始まる。
そろそろ秋かなと思いきやまだまだジメジメした天気。
ムッとする空間の中で私は必死にペンを動かす。
窓は開けてある筈なのに風はなく、せめて風だけでもあればなぁと思い、下敷きで顔を扇ぐが生温い風しか来ない。
それでも幾分かましかと自分に言い聞かせ、時計を見る。
−あと少し−
ソワソワしながら勉強する私はとても受験生には見えないだろう。
−今日は何話そうかな?−
と考える自分と
−ちゃんと勉強しなきゃ−
と考える自分が居る。
だが、きっと前者の自分が勝つだろう。
そう思いくすりと笑って見ると後ろから
「何百面相してんだよ」
とはにかんだ土方君が見えた。
おっといけない。心の中で葛藤が生まれていて時間を忘れていた。
「ごめん!直ぐかたすね!!」
そう言うと彼は私のノートを見て
「そこ、間違ってる」
と指摘する。
土方君は私のペンを取り、ノートにスラスラと答えを書き込む。
−凄い−
私は全然分からなかったのに…
「ほら」
差し出されたペンを受け取る時、彼の指が私の指に触れた。
指先から伝わる熱
指が熱を保ったように熱い。