涙の別れ
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「おら。鞄のせろ。」
「ありがとう」
せっかくの土方君の行為に甘えよう。土方君の自転車に鞄を乗せて貰った。
「しっかし咲羅は数学苦手だよな」
「うっ、だって分かんないもん。土方君だって国語苦手じゃん」
負けじと言い返すが
「それ、いつの話だ。見てみろよ」
差し出されたテストの結果を見ると…
「きゅ…96点!?」
信じられない。国語だけは自信の有る私に2点差でくっついて来てる。
「咲羅は?国語。」
「…98」
小声で答えると土方君はニヤリと笑い、
「もう少しで抜かしてやる」
と言った。
−どうしよう…土方君はこんなに頑張ってるのに私は全然だ…−
かなりの焦りを覚える。
「土方君…」
「なんだ咲羅?」
「数学教えて!!」
私が言うと今度はフッと微笑んで
「了解しました。」
と言う。どうやら私はその顔に弱いみたいだ。
「じゃあまたな。」
「うん。送ってくれてありがとう」
「気にするな」
「バイバイ。また明日」
「ああ。」
そう言って背を向ける彼も、私の影も長く長く伸びていた。
長い2人の影法師