涙の別れ
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「ごめんね、呼び出して」
「気にすんなよ。可愛い咲羅の為じゃんか」
「可愛くない!!でも…ありがと…」
「おう!!」
これから言う言葉は、彼を傷付けてしまうかもしれない。
いや、傷付けてしまう。
神様…こんな私でも、もう一度人を愛しても良いのでしょうか…
「あのね…別れてほしいの…」
「……そっか…」
暫くの沈黙。その後彼はいつもと違う、寂しそうな顔で笑った。
「良いよ。知ってた。咲羅が俺を見てない事ぐらい。俺だって分かるよ」
「ごめんね…」
あぁ、神様。私は誰かを傷付ける事しか出来ないのでしょうか…
「ごめんね…ごめんね。私…まだ好きな人が居るの。諦められないの」
「うん…咲羅に好かれる男なんて羨ましいな。じゃあ、俺らはこれで終わり。」
「うん。今までありがとう。」
「最後に…お願いして良い?飯、食いに行こう」
「うん。」
彼はまた人懐っこい笑顔に戻っていた。
こんな良い人を振るなんて、私は最低な女だ。
だから、今日は、彼のお願いを聞こう。これで最後だから…
籠の中の小さな鳥
私は籠の中の鳥。悪魔に飼われてるなんて知らずに、ただ外を見ているだけの鳥。