涙の恋
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外で蝉が鳴いている。
じっとりした暑さの中で、私は課題をこなす。
「あーもう!!暑い!!」
まだ少し未練は残るけど私は勉強に専念する事に決めた。
−夏、沖田君と遊びたかったな−
そんな思いがよぎるが慌てて首を横に振る。
−駄目駄目!!もう諦めるって決めたんだから!!−
気分を落ち着かせるため、私はバスに乗った。
隣町の図書館へ行くため
「次は図書館前〜図書館前〜」
アナウンスが聞こえてくる。
バスを降りて図書館に入り、適当に席を選ぶ。
「あっ…」
目の前で本を読んでいるのは、沖田総悟の隣にいつも居る−土方十四郎−
土方君は私と一瞬目が合ったが、直ぐに本へと視線を戻してしまう。
−私の事なんか知らないよね−
心の中でそう呟き、私は課題に手をつける。
……何時間経ったかわからない。と言うのは、私の手がある問題で止まっているからだ。
−わ…分からない…−
ふと前の席の土方君を見ると、彼も手が止まっている。
いつの間に本を読み終わったのだろうか。
彼の手が止まっている問題を見ると、ついさっき私が終わったばかりの問題だ。
彼を見つめていると不意に目が合ってしまった。
さり気なく反らしたが、
「おい。」
と、声をかけられてしまう。
「な、何?」
どもりながらも答えると、
「ここ、教えてくんね?」
差し出されたノート。
それを受け取ると、
「代わりと言っちゃアレだが…そこ、教えてやるよ。」
そう言って指された指は私のノートを指している。
「……お願いできる?」
「お安いごようだ。」
ほんの少しの勇気