涙の恋
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「悪りぃな紅月!」
「何で?」
「教えてもらって」
「良いよ良いよ。私こそごめんね、送ってもらっちゃって」
「別に良いぜ。」
今私は土方君の自転車の後ろに乗っている。
閉館時間まで勉強を教えてたら、土方君が
『家まで送る』って言ってきた。勿論最初は断ったけど、送るの一点張り。
どうせなので、私は土方君の好意に甘えることにした。
「紅月って何で俺の事知ってんだ?違うクラスだろ?」
「だって土方君有名じゃん!!格好いいし」
嘘。本当は知ってたよ…ずっと…沖田君と一緒に居たから。
「俺はそんな有名じゃ無ぇよ」
そんなたわいない会話が今の私には丁度良かった。
「今日はありがとう」
「こっちこそ、ありがとな」
家の前まで送ってもらって、なんだか申し訳ない。
「じゃあな。」
土方君が自転車に跨ると、なんだか寂しくなった。
「あの!!」
気付いたら、土方君を呼び止めてる私。
「何だ?」
一旦土方君は自転車を降りて近付いてくる。
−行かないで−
そんな言葉が思い浮かぶ。
「あの…さ…」
「明日も教えてくれない?」
言った後に後悔する。
−土方君もそんな事言われたら迷惑だ−
「ごめん。今の忘れて!!」
慌てて言ったが、土方君はフッと笑い、
「良いぜ。じゃあ明日な。」
そう言って自転車に跨ると手を私の頭を撫でる。
土方君が見えなくなるまで、私は見送った。
空は綺麗な夕焼けだ。明日も晴れだと良いな。
夕焼け色の君と僕