未来日記
□05
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「……どういう事ですか?」
指先が冷たい。
力が入らない。
「まだ検査をしていないので、詳しい事は言えませんが……彼女は、重い病気にかかっています。」
だから、それは風邪を拗らせて……
「アルツハイマー病って知ってますか?」
「えぇ、脳の病気で、物忘れが激しくなるって……!!」
―まさか―
「そうです。彼女は恐らくアルツハイマー病でしょう」
ー息が、上手く出来ない―
―この医者は何を言っているんだ?―
「……治るんですか?」
「紅月さんの場合、こんなに早く症状が出るなんて珍しいです。ですから詳しく検査をする事をお勧め致します。」
そう医者は淡々と言った。
俺が聞きたいのは検査をする事なんかじゃない。
「治らないんですか?」
「まだ、解りません。」
じゃああいつの―咲羅の―
「夢はどうなるんだよ!!あいつは、あいつの教師になるっていう夢はどうなるんだよ!!」
「……きつい事を言うかもしれませんが、諦めた方が良いでしょう……」
なんで、なんで咲羅だけあんな目に……
「御本人に病状を説明しますか?」
今、咲羅は幸せだ。
こんな所で咲羅の幸せを壊させはしない。
俺は誓ったんだ、咲羅を守るって……
忘れてしまう恐怖
俺だったら、そんなの耐えられない……