未来日記

□12
1ページ/1ページ



恥ずかしい……外で泣いてしまった……

でもさっきのプロポーズは嬉しかった。

もう、長くない私にプロポーズをしてくれたトシの優しさが、嬉しかった。


あれ?


どうして私、泣いていたんだろう。

確かトシと……


……トシって、誰だっけ……


分からない。私が分からない。どんどん真っ白になってしまう。

コワイ、タスケテ


「ヤベェ!!信号点滅してんぞ!!」

「マジかよ!!走ろうぜ!!」



シンゴウ?


「……行かなきゃ」

帰らなきゃ、家に、カエラナキャ。


後ろの方で、声がする。

ダレ?アナタハ、ダレ?



車のけたたましいクラクションの音。

何かがぶつかる鈍い音。

その中心にいる君は、あまりにも紅い。






突然の事だった。

いきなり咲羅が赤信号の中、車道へ走って行った。



なんで、止められなかった。

どうして2回も事故に遭うんだ。


手足が動かない。

動け。動け、動け!!


「咲羅っ――!!」


咲羅に駆け寄ると、既に顔に生気は無い。

青白い顔とは対照的に、真っ赤な血がアスファルトを汚す。



「止まれっ、止まれよ、出るなよ!!」


叫んでも叫んでも、血は止まることを知らないかのように流れ続ける。




誰かが呼んだ救急車の音が響く。


あぁ、この音を間近で聴くのは2回目だ。

何故か冷静に思うことができた。





この世は理不尽だ


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ