未来日記

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あれからどれ位経ったのだろうか。

「トシ、少しは食わんと、お前が倒れちまう」

遠くの方で近藤さんの声が聞こえた気がする。

俺、このまま死ぬのかな……まぁ、それも良い。

咲羅に逢えるなら……


咲羅、もうすぐ逢いに行くからな。


「いい加減にしろトシ!!お前が元気じゃ無かったら悲しむのは天国に行った咲羅ちゃんなんだぞ!!」


違う、咲羅は死んでない。絶対帰ってくる。


「……行かねぇと」

もう、こんな時間だ。病院に、行かないと……

俺は近藤さんを振り切って走った。



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しかし、病室は当たり前のように空っぽだった。


近くにいたナースが俺に話しかける。


「あら、誰かお探しですか?」

「咲羅を、紅月咲羅を探してます。」

するとナースは大きく目を見開いた。

「お気持ちは分かりますが、紅月さんは亡くなられたんですよ。」

嘘だ、嘘だ嘘だ!!


「そんな訳無いだろ!!」


咲羅の病室にいれば、あいつは絶対帰ってくる。

帰ってくるんだよ!!


「……日記?」

しかし咲羅は帰って来ないで、かわりに、一冊の日記帳が置いてあった。


ページが風で開く。



「―っ!!」



最近、物忘れが激しくなったと自分でも思う。

だからこれから日記を書いていこう。

『私』という存在が、この世に居たと言うことを証明するために……



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○月×日

トシが毎日お見舞いに来てくれる。
とっても嬉しい!
このまま、時が止まれば良いのに……


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○月×日

一瞬、トシが誰だか解らなかった。
トシの泣きそうな顔を見て、なんて事をしたんだって思った。
ごめんね、トシ。弱虫の私を許してね



知っていたのか?全部知っていてあんな事を……


「うっ、くっ―――」


もう泣き疲れて涙なんか出ないと思ってたけど、


涙が止まらなかった。


また、ページが風で捲れる。
最期に、トシの名前は絶対に忘れないように、いっぱい書いときます。

―十四郎―
―とおしろう―
―トオシロウ―
―トシ―
―とし―


―トシ―


愛してる




「咲羅―、咲羅―、咲羅!!」


ありがとう、思い出を、ありがとう。

愛してる。好きだ。好きだ。好きなんだ。

「ぅぁぁああああ―――っ!!」


俺、決めたよ。


生きるって。






ありがとう、君に逢えて、本当に良かったよ。

いつまでも、忘れない。


 

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