涙のリング

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「喉渇いちゃった」


喉の渇きに目覚めた私はリビングへ行こうとした。



「明かり?」



もうとっくに日付は超えた筈なのに、リビングには明かりが付いていて、中で人の声がする。




「……で…じゃない!!」


「だから…で……なんだろ!!」




声からしてお父さんとお母さんの様だ。


しかし、上手く聞き取れない。





私は2人に気付かれない様、リビングにそっと近づく。


喉はもうカラカラだ。




「だから言ったのよ!あの時咲羅も連れて行くべきだって!!」


「それでも、咲羅が残りたいって言うから…」


「それの結果がこれなの!?あの子、土方って言ったのよ!?」


「あの子の口からそんな言葉が出るなんて…」




何?何でトシ君の名前が出るの?



「今後一切あの子に近づけさせないわ」


「…っ!!それはいくら何でも」


「だって!!」







聞いちゃいけない。そんな気がした。




でも…体が動かない。



「あの子達は…」




いや…やめて…それ以上は…





「兄妹なのよ!!」







頭が殴られたみたいに痛い。




「咲羅の手にはめてある指輪を見た?」


「いや…」


「アイリスって書いてあったわ」



私は指輪を…アイリスの文字を見た。



「アイリスって……まさかっ!!」


「そう。アイリスの花言葉は…『わたしは貴女に全てを賭ける』よ」


「知っているのか!?あの子は咲羅が妹だと。知っててこの指輪を?」


「そうとしか思えないわ」


「なんて事だ…」





お父さんお母さん。それは本当の事なんですか?



大量の情報が一度に頭に入り、頭痛が酷い。


私はしばらく動けずにいた。


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