涙のリング
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「んっ……」
「起きたか……じゃあ、着替えたら言って来れ」
朝からなんだかトシの雰囲気が違う。
「どこか出掛けるの?」
「……帰るぞ」
頭がズキリとした
「帰る?どこに?」
「お前の家……俺達の家にだ」
「なんで!?ずっと此処に住もうよ!!」
「此処にか?此処はもう場所が割れている。働くとしても俺らはまだ高校生だ。マトモな仕事は付けない」
「でもっ!!!「咲羅!!!」っ…!!」
「現実を見ろ…」
「ッ…ヒック…そんなの…ッて…ックないよ…」
あぁ、ヤッパリ君はそうやって汚い俺の為に涙を流す
俺はどんな罰も受けるから……
どうか、彼女を笑顔にして下さい
「ほら。着替え…「嫌っ!!」」
咲羅は俺の横をすり抜け、玄関へと走り抜けて行った。
「まぁ…当然だよな……」
神様なんて居ない
キキーッ!!!
咲羅が出て行ってすぐ急ブレーキの音が聞こえた。
嫌な予感がした