涙のリング

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―忙しく走り回る警察官―

―泣きじゃくる《俺達》の両親―

―道路に広がる血の痕―




全てが夢のようだ。


しかし、それは《父親》に殴られた事で夢では無いことが、分かる。



《母親》は咲羅に付きっきりで救急隊員と話し合ってる。




あぁ……これは罪だ。俺達が犯した禁忌の代償なのだ


神様……何故俺に罪を着せず、彼女に罪を着せたのですか?




俺の可愛い《妹》を…《彼女》を奪わないで下さい…



俺は泣いていた。泣いたってどうにもならないのに…高校3年にもなって涙が止まらなかった。




―泣かないで―



フと、咲羅の声が聞こえた



慌てて咲羅に近付くと、少しだが、咲羅の意識が戻っていた。



「ごめん…ごめん……」

「ど…して…トシが謝るの?……私、平気だよ……」


差し出された手には茶色くなった血が一面に付いていて、事故の光景を物語る。



「笑って?」


そう言って咲羅は瞳を閉じた。



「このままでは血液が、足りません。誰かこの子の血液型を…」

「俺が行きます。この子、A型なんで」

「分かりましたそれでは…「違います!!」



「この子は……この子はO型です…」



そう言って《母親》は此方を向いた。



「目が覚めたら全てを話すわ……」








それが、吉と出るか、凶と出るか


 

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