涙のリング

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「何で勝手に居なくなるのよ」








(それは、俺だけあの場所に居てはいけない気がしたからだ。)


可愛らしく頬を膨らませる彼女に、怪我人らしさはない。


「初めて逢った時、図書館だったね。」

「そうだったな。」

「あのね、私、進路が決まったの。


先生に、なろうかなって思ったの。

先生になって、私達みたいに悩んでいる子達を導いてあげたいの。駄目かな?」


「お前が良いと思ったらお前の好きに進めよ。俺は全力で応援するから。」


「ありがとう。本当にありがとう。」


「咲羅……愛してる。」

「ッ……!私も!!」



幼い僕たちは、

禁忌を犯した。

それは、許されない大罪。

僕たちは神様を信じて、

現実から目を逸らしたんだ。

神様なんか、いないと言って、

神様が罰を与えた時だけ、

僕たちは神様を信じた。

神様はとても不公平で、

僕には罰を与えなかった。

可愛い可愛い僕の妹をとらないで。

お願いします神様。

でも、神様は僕から妹を奪って行った。

その代わりに、

神様は僕に恋人をくれたんだ。

妹『キミ』を。

だからこれからは『キミ』と一緒に

いつまでも歩いて行くよ。

ずるいね、神様は。

最後にはなんでも

ハッピーエンドにしちゃうんだから。




END

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