ぎんたま短編

□松陽塾
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ここは松陽塾
銀時、小太郎、晋助は松陽先生と夕食を食べていた


「…ごちそうさま」


晋助は食事を半分残し後片付けを始めた


「なんだよ晋助、メシを残しちゃいけないんだぞ!!」


銀時が晋助に注意した。


「そうだぞ晋助、一粒の米には七人の神様がいるのだぞ!」


続けて小太郎も晋助を叱る


「うるせェ」


晋助は一言悪態をつくと台所へと姿を消した。
銀時と小太郎は顔を見合わせ首を傾げる。
松陽は気に止めず食事を続けていた

晋介の様子が気になった二人は夕食をかき込み早めに終わらすと晋助を探しに行った

しかし台所は空の食器だけがあり自室にも晋助の姿はなかった。

二人は外に出て晋助を探す。
するとどこからか声がした。



「ルルルル…ルルルル」



晋助の声だ
二人は忍び足で声のする茂みへ足を向ける。

そこには不格好な握り飯を片手に子犬を呼ぶ晋助の姿があった。


「ルルルル…ルルルルほら、メシだぞ!ルルルル」


子犬は恐る恐る晋助の元へ近づき握り飯を食べた


「フッ」


晋助は勝ち誇った様に笑うが、喜びを隠しきれていない。


「晋助、ルルルルはキツネを呼ぶ時だぞ」


「ったく、水くせェな、イヌにメシやるなら俺のもわけてやったのに」


突然の二人の声に晋助は目を見開いて驚く


「お…お…お前ら…」


そんな晋助を無視し二人は子犬と戯れる


「こいつ飼えるかなァ」


「難しいかもしれんな」


「……。」


その言葉に晋助は暗い顔をする。


「わかってる…こいつは飼えないよ」


寺子屋で世話になっている身である事は幼いながらも理解していた。これ以上迷惑はかけられない。


「「「……。」」」


三人は一気に暗い雰囲気になった
その空気を打破するように銀時が明るく言う


「…じゃあ内緒で飼おうぜ!」


「そうだな、俺らでメシを与えればなんとかなるだろう」


「…良いのか?」


晋助が戸惑いながら聞く


「お前にだけコイツを独占させねェよ!」


「そうだ!この肉球は俺のモノだ!!」


「……お前ら…」


晋助は感動を隠す


「それでは名前を決めなくてはいけませんね」


「そうだなァ…小さいからチビ!!」


「なんだその短絡的な名前は…エリザベスなんてどうだ?」


「気持ち悪ィよ!!」




「「「……………あれ?」」」


三人は一斉に振り返る。
そこには顎に手をついて考え込む松陽の姿があった。


「「「しょ…松陽先生…」」」


三人を見ると松陽は優しく微笑んだ


「そんなに驚かないで下さい。とりあえず家に帰りませんか?その犬も一緒に」


松陽の言葉に晋助は笑顔になる

「先生…コイツ…飼って良いのか?」


「ええ、もちろん」


「「「やったぁぁぁ」」」




こうして松陽塾は仲間が一人増え更に賑わいが増した

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