ぎんたま短編
□ぶらんこ
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「山崎ィィッ」
俺を怒鳴るその声が好きです
あんたが俺を呼ぶ度に
俺の総てが高揚する
あんたの背中を見つめる度に
俺ァ総てに嫉妬する
あんたにはわからんでしょう
この気持ち
―――――ぶらんこ
「…寝てる」
鬼と呼ばれるあんたでも
昼寝なんて すんですね
さすがに三日も寝なきゃ
鬼も無防備になるんですね
あんたの寝顔、いま俺だけが見つめてる
例えばこの口付けで総てが変わるなら
例えばこの口付けが総てを変えるなら
期待と絶望が行ったり来たり
ぶらんこみたいに行ったり来たり
前に進まず後ろに戻らず
ずっと、ずっと、ゆらゆら揺れる
この気持ち悪さに酔いしれている俺は
宙ぶらりんのまま 降りる術を知らなくて
ただただ ずっと
ぶらんこみたいに行ったり来たり、ゆらゆら揺れる