ぎんたま短編
□キス大作戦
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今回のミッションは土方コノヤローの唇を奪う事
土方の野郎、俺の気持ちに気付いていながら
全然アクションを起こさねェ
鳴かぬなら泣き叫ばそうホトトギス
あの唇を奪って俺の事しか考えられなくしてやる
―――AM4:00
寝込みを襲うのが手っ取り早ェ
俺の濃厚なキスで目覚めさせて
今日1日悶々とさせてやる
〜〜副長室前
沖田は襖の外から聞き耳を立てた
(静かだ。こりゃ寝てまさァ)
沖田は土方を起こさない様にそっと襖を開け中に入った
(フッ無防備な寝顔してらァ、こりゃミッション成功確実でさァ)
沖田は忍び足で枕元まで行くと寝顔を見つめた
(チッ綺麗な顔しやがって…ムカつく野郎でさァ)
そして沖田はゆっくりと唇を近付けた
「…何してんだ…総悟…」
僅か数センチ先には青筋を立てた土方の顔があった
「ジョ…ジョギング…」
「ウソつけェェェッ!!テメェ人の寝込みを襲うたァ
どんだけ俺を抹殺したいんだよ!!」
「チッ」
――――ミッション失敗
―――AM11:00
こうなったら雰囲気作りからやるしかあるめェ
自然と距離が近くなって良い雰囲気になるには…
〜〜市中見回り(パトカー)
沖田の運転で市中見回りをしている
「土方さん、あそこに車止めますか?」
「そうだな」
沖田は助手席の背もたれに腕を起き車をバックさせた
(これは助手席の人と自然と距離を縮める王道ポーズ!!
どうだ土方ッドキドキが止まんねェだろッ!!)
「総悟…」
土方は沖田を見つめた
「土方さん…」
沖田も土方を見つめ返した
「総悟…もうちょいハンドル右に切った方が良いぞ」
「………はい」
――――ミッション失敗
―――PM3:00
チクショー土方の野郎…全然俺を意識しやがらねェッ!
次はもっと密着性を高めるか…
〜〜副長室
「土方さ〜ん」
「なんだ?総悟」
「ちょっとパソコン開いてもらえますか?」
「ん?あァ…」
土方はパソコンを開いた
「ここのコレなんですがねィ…」
そう言って沖田は土方の背中に密着して
土方の手の上からマウスを動かした
(フッこの密着率…土方の意識は背中と手に集中してるに違いねェ)
「…で?総悟、何がわかんねーんだ?」
土方は全く気にしている様子が無かった
「………もう、大丈夫でさァ」
――――ミッション失敗
―――PM10:00
何でだァァッ!!何で土方の野郎 毛ほども俺を意識しねーんでさァッ!!
もう…こうなったら最後の手段…
〜〜〜風呂
――ガラガラ
土方が風呂場に入って来た
「あッ土方さんも、こんな時間に風呂でしたかィ奇遇だなァ(6時からずっと待ってたんだってんでさァ)」
「書類が多くてな。テメェの」
そう言いながら土方はシャワーが設置されている方へ行き
風呂椅子に座った
「いやァいつも世話かけちまって、お詫びに背中でも流しましょう」
「総悟がンな事言うなんて珍しいな、頼まァ」
「へ〜い」
沖田は土方の後ろで膝立ちしゴシゴシと背中を洗った
「土方さんの背中は広いですねィ」
「そうか?」
「この僧帽筋に肩甲骨…広背筋…綺麗でさァ」
沖田は石鹸でヌルヌルした土方の肩から背中に手のひらを這わせた
(どうだ土方ッこの手つき 悶々すんだろ!!)
「…総悟…」
「何ですかィ?」
「くすぐったい」
――――ミッション失敗
―――AM1:00
んなァァァァッ!!!
ひ〜じ〜か〜たァァッ!!
何でッ何で何にも感じねーんだァァッ!!!!
〜〜沖田の部屋
「くそォッくそォッ!!土方の野郎めェェェッ!!」
「俺が何だって?」
部屋の入り口に土方が立っていた
「土方さんッ!!」
「どうも今日は様子がおかしいと思ったら
やっぱり何か企んでやがったか」
「チッばれちゃ仕方ねェ」
沖田は土方の手を引っ張るとそのまま唇を奪った
―ガッ
「ってェ…」
「ってェ…」
勢いが良すぎて二人は唇越しに歯をぶつけた
「総悟…こりゃどういう事だ…新手の嫌がらせか?」
「うるせェ土方、いってェ…」
「ったく、ガキがバカな考えするからだキスってのは、こうすんだよ」
土方は沖田の腰を抱いて目の前まで顔を近付けた
「ひ…じかた…さ…」
土方はニヤリと笑った
「今日はここまでだ」
「え…」
土方は沖田から離れると 襖の方へ向かい 振り返った
「テメェはそのまま悶々としてろ」
そして土方は部屋を出て行った
「土方ァァァァァッ!!!!」
――――ミッション失敗