romanzo
□“buono!!”(TOV レイユリ 元拍手)
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「愛してるって言ってくれたら、食べてもいいわよ」
さっきからご所望だったクレープをサーブして、テーブルに向かい合った青年に、笑顔でそう言ってみた。けれど期待とは裏腹に、呆れたような、可哀相なモノを見るような表情が返ってきた。いや…まぁ期待と予想は違ってたわよ。初めから。自分の笑顔が引き攣ってきたのが分かる。
「ハイハイ。あ、い、し、て、る、ぜ」
むきーっ!!既に視線はクレープに向けられてるじゃないのよ。どんだけクレープ好きなの?むしろおっさんより好きなんじゃないの??黙々とクレープを貪る青年を恨めしげに見つめると、彼は視線に気付いたようで、ぱっと顔を上げた。
「うまい!」
子供みたいな満面の笑顔に、クリームが付いてる。あーもう、この顔におっさん弱いのよ…心臓魔導器もキュンキュンいってるわ。全く、このあんちゃんには敵わん…
「…あ!な〜るほど」
分かった。おっさん分かっちゃったよ。一人勝手に納得していると、青年が不思議そうな顔でこちらを見てくる。わざと意地悪に笑ってやろうっと。
「なんだよ?」
「ユーリ、クレープおいしい?」
「ああ。さっきも言ったろ?」
「おいしい?」
「だからうまいって。」
うむ、ひとまず満足。変なおっさんだな、と再びクレープに取り掛かるユーリを、今度は満たされた気持ちで見つめる事が出来た。
つまりはさ、おいしいって言葉は作った人への愛の言葉よね。うん。おっさんの中では大決定。さ〜て、あと何回言わせてから明かそうかしら。
ねぇユーリ、おいしい?
次頁あとがきです。