romanzo

□“buono!!”(TOV レイユリ 元拍手)
1ページ/2ページ




「愛してるって言ってくれたら、食べてもいいわよ」




さっきからご所望だったクレープをサーブして、テーブルに向かい合った青年に、笑顔でそう言ってみた。けれど期待とは裏腹に、呆れたような、可哀相なモノを見るような表情が返ってきた。いや…まぁ期待と予想は違ってたわよ。初めから。自分の笑顔が引き攣ってきたのが分かる。

「ハイハイ。あ、い、し、て、る、ぜ」

むきーっ!!既に視線はクレープに向けられてるじゃないのよ。どんだけクレープ好きなの?むしろおっさんより好きなんじゃないの??黙々とクレープを貪る青年を恨めしげに見つめると、彼は視線に気付いたようで、ぱっと顔を上げた。


「うまい!」


子供みたいな満面の笑顔に、クリームが付いてる。あーもう、この顔におっさん弱いのよ…心臓魔導器もキュンキュンいってるわ。全く、このあんちゃんには敵わん…

「…あ!な〜るほど」

分かった。おっさん分かっちゃったよ。一人勝手に納得していると、青年が不思議そうな顔でこちらを見てくる。わざと意地悪に笑ってやろうっと。


「なんだよ?」

「ユーリ、クレープおいしい?」

「ああ。さっきも言ったろ?」

「おいしい?」

「だからうまいって。」


うむ、ひとまず満足。変なおっさんだな、と再びクレープに取り掛かるユーリを、今度は満たされた気持ちで見つめる事が出来た。



つまりはさ、おいしいって言葉は作った人への愛の言葉よね。うん。おっさんの中では大決定。さ〜て、あと何回言わせてから明かそうかしら。



ねぇユーリ、おいしい?










次頁あとがきです。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ