romanzo

□la sorpresa(TOV レイユリ)
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「あの…さ…」

「うあああ!!ごめんっユーリ君ごめんなさいっ!!でも愛してる!!愛してるのは本当で本気だからっ!!だからおっさんと結婚してっ!!」




「…ぶっはははは!!もー我慢出来ねぇ!」

もういいだろ?と皆を振り返る青年に、今度はこちらがポカンと口を開ける。え、待ってよなになにどういう事?

「レーイヴン、まだ気付かないの?」

え?

「ごめんなさいね、でもおじさまったらピュアなんだから。」

ええ?

「その…本当に申し訳ありません、レイヴンさん。」

えええええ!?

「はー笑った!…悪ぃなおっさん。酔い潰れて俺らの事バラしちまったの、俺の方なんだ。」





正しい事の顛末はこうだ。

酒に強くない青年が、ギルドの仕事の打ち上げでこの店を訪れ酒にのまれたのがふた月程前のこと。これまでの自分と青年の関係や、現在の不満等々の愚痴を共に食事していたギルドメンバーの前でぶちまけたらしい。だったら凛々の明星に任せてよ!とカロルが意気込み、話を聞いていたこの店の主人夫婦も一肌脱ごうと言い出した。


そこから先の流れは、自分が聞かされていたこととさして変わらない。大きく違っているのは、騙されていたのが自分だったということ位だ。酔い潰れたと思った日は酒に薬を盛られて眠ってしまったところに、嘘の内容を後から吹き込まれたらしい…なんという周到さなのだろう。



「…という訳なんです。ごめんなさい、レイヴン。」

謝罪しているはずの嬢ちゃんの笑顔が眩しくて痛い。穴があったら入りたいというのはこんな気持ちだったのか。したり顔に囲まれてもう一度テーブルに突っ伏すとひんやりしたその表面の温度と自分の頬との温度差に驚いて、自分の情けなさに消えてしまいたかった。

わしわしっと頭を撫でられて顔を上げると、照れた表情の青年が見えた。

「まさか本当におっさんのプロポーズが聞けるなんて…な。」

「…青年…酷いわよぅ…」

「悪かったって。つかおっさんだって同じ事しようとしてたんだからおあいこだろ?それに俺だって色々…なあなあの関係でこのままやっていくのは良くないかもって思ったんだよ。」



自分のせいでずっと不安にさせていたのか。しかもいつもは全部独りで背負っていこうとする青年が、酔って愚痴を言いたくなるくらいに。けれど、その不安はきっと自分との関係を失いたくないと思ってくれたからで…

「嬉しい。」

「へ?」

「ユーリの未来にちゃんと含まれてて、おっさん嬉しいよ。」

緊張や驚きで浮ついていた心がやっと戻って来た。型にはまった台詞でも勢い任せの言葉でもないものが、今ならちゃんと形に出来る気がする。

「ユーリ、待たせて悪かった。」

「うん?」

「ずっと一緒にいよう。」

「…ああ。」

大きな歓声と拍手が辺りを包む。さあ今日は記念日だ!皆飲むぞ!!と陽気な声が聞こえて下町の人達が店になだれ込んでくると、一気にドンチャン騒ぎが始まった。



来年もその次の年も、ずっとずっとこの日を祝っていきたい…そう思える記念日をこれからもっと増やしていけるような予感がする。そんなことを思って青年を見遣るとタイミングよく目が合った。今同じ事考えてたんじゃない?さあ、どうだろうな。確かめ合うようにそっと口づけを交わした。





おまけ

ユ:しっかし知らないふりして自分へのプロポーズ聞き出すそうとするの大変だったんだからな!おっさんなかなか言い出さねぇし…

レ:いやーおっさんも参ったわ。あそこで偶然大きい音がして青年が止まってくれなかったら、場所変えたって言い出せなかったかも。

カ:じゃあやっぱり僕らのおかげだね!

ユ:どういう事だ?

カ:二人に場所変えられたら一番いいとこが見れなくなるって思って、皆で慌てて机とか椅子動かして音出したからさ!

ユ:お前ら…

レ:面白がって見てた訳ね…

カ:え…え…やだなぁ二人とも…目が怖いよ…ねぇ…うそっ…ぎゃああああ!!



−カロルは称号『僕キューピッド!!』を手に入れた。(笑)










カロル先生大好き!
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