連続短編
□青空キャンバス
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梅雨の終り。
夏の始まり。
"青空キャンバス"
「やべっ」
「おーどしたー?」
「多分美術室にさ、家の鍵忘れた。
悪ぃけど先帰っててくんね?」
「いや待ってるけど。」
「あぁ大丈夫大丈夫。じゃあまたな!」
「おぅ。」
チャマに別れを告げるとすぐに美術室へと向かった。
放課後になって時間が経っていたからか校舎に人気は無く、代わりに部活の賑かな音達が飛び交っている。
吹奏楽部の入り交じった楽器。
体育館からのホイッスル。
練習試合の声援。
それらを聴きながら小走りに進む。
「あー…教室開いてんのかな…」
職員室まで鍵を取りに行くのは少し面倒臭い。
開いてることを願いながらドアに手を掛け、軽く力をかけた。
ドアは静かに、そして僅かに開いた。