寒椿の恋
□天の邪鬼×2。
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「おいっ、そんなに近づくな!」
「だったら先輩がもっと早く家を出ればいいじゃないですか!」
「なんで部活も引退した俺が早く行かなきゃいけないんだよ!」
「じゃあ、遅刻すれば!?」
相変わらずの憎まれ口。
でも今まで違うのは、2人の口元がほんの少し笑っていること。
私がケガをして以来、
先輩の家にいる時間も少し長くなったような気がする……。
少しずつだけど、
先輩との距離も縮まっているのかな?
「…ったく、ムカつく女。」
伊藤先輩はそう言って、ニカッと笑った。
……ふんっ。
別にどうでもいいけど!
―――――――