Le monde a rallonges
□漆黒の海に流れる星
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「くそったれが」
闇色の波が打ち寄せる浜辺で、ロックオンは小さく呟いた。
――頭の中でよみがえる惨劇。
唯の破片と化した建物。
コンクリートの中で眠っていた固い蕾は、鉄筋の花を咲かせている。
ずらりとならぶ黒い布。
それはまるで、喪服のようで。
それらにまばらに寄り添い、涙を流す人。
ほうけたように唯立ち尽くす人。
憎しみに燃える目をする子供――……
ギリッ
手袋をはめた手が、強い力で握られた。
「ロックオン!ロックオン!」
小さな相棒の声に振り向くと、そこの先に居たのはハロだけではなかった。
「エヴァか。どうしたんだ?」
「どうかしたのはロックオンでしょ」
エヴァはそう素早く切り返し、ロックオンの隣に並んだ。
赤みがかった紫の目が漆黒の海を眺める。
「そんなにテロが憎い?」
「エヴァはどう思ってるんだ?」
「私は何とも思わない。ただ、愚かしい行為だと思うだけ」
エヴァの瞳が答えを促すようにロックオンを見ると、彼は苦笑を浮かべて海を見た。
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