Le monde a rallonges
□迷い込んだラビリンス
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ラグランジュ1
地球と月の間にある重力と遠心力のバランススポット。
そこには、いち早く宇宙開発に乗り出したユニオンのスペースコロニーがある。
そこから約300キロメートル離れた地点には、コロニー開発の為に運び込まれた多くの資源衛星が巨大なアステロイドエリアを形成していた。
その中に施設武装組織CBの秘密ドックが存在する。
「アレルヤ、状況はどうだ?」
「問題ありません」
「ここはワシらに任せて、地上に降りても良かったんだぞ?」
「大丈夫です。僕の体は丈夫に出来てますから。それに、少し考えたいこともあって」
アレルヤは微苦笑を浮かべて言った。
頭の中では、自分の過去を話してくれた少女の顔が思い描かれている。
「ワシらはもう事を始めた。後悔すら許されない所業だ」
アレルヤは自重めいた笑みを浮かべた。
「分かってますよ」
***
アレルヤとイアンらを宇宙に残し、他のクルーは地上に降りていた。
ナノマシンの普及により宇宙生活における人体への悪影響は激減したが、精神衛生上の観点から、人は地上に降りる必要があったからだ。
「ねえ、ロックオン、私も外に連れて行ってくれない?」
一人で墓参りに行こうと思っていたロックオンは、すまなさそうな表情でエヴァを見返した。
「悪ぃな。ちょっと行きたいところがあるんだ」
「そこで良いの。私は、ただ外に出たいだけだから。貴方は、そのテープが要らなくなるでしょ?」
ロックオンはギョッとした。
確かにエヴァが指差した先の胸ポケットの中に、テープが入っているのだ。
クルーの誰かから連絡が来たとき、自分が何をしているのか誤魔化すために。
「いろいろ、見てみたいと思ったの。………駄目?」
不安そうに小首を傾げて聞くエヴァに、ついにロックオンは折れた。
「いいぜ。連れてってやるよ」
その言葉に、エヴァは微かに笑みを浮かべた。
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