Le monde a rallonges

□折れた翼
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エヴァは、ハレルヤが撤退してくれていることに安堵しながらも、まるで悲鳴を上げているようなその葛藤に苦しくなった。
しかし、すぐに気持ちを入れ替える。
撤退していくキュリオスを追おうとするタオツーを初めとするティエレン各機に、銃弾を打ち込む。


「アレルヤとハレルヤが安全なところに行くまでは、ここから先には行かせない!」


エヴァは、長時間敵を留めておけるとは考えていなかった。
相手は超兵。
それに加え、生え抜きの軍人が十数名だ。
彼ら全員を相手に、体力も経験も心許ないエヴァが勝てるはずが無い。
とにかく足止めさえ出来れば良いのだ。
後は耳を澄ませて逃げる機会を伺えば良い。
彼らを逃がす為にも、エヴァ自身が逃げる為にも、出来るだけ敵の数を減らさなくては。
アレルヤは死ぬつもりだと思っていたようだが、しかしそれは強ち外れていなかった。
進んで死ぬつもりは欠片も無いが、アレルヤとハレルヤが逃げ切れるなら、最終的にそうなってしまっても良いと思っている。


「さあ、カオスへ帰ってもらうわ」


エヴァはGNビームピストルを両手に構え、ルシファーの脇を抜けようとしていた三機のティエレンを打ち落とした。
タオツーも捕らえたと思ったのだが、その抜群の反射能力によって逃げられてしまう。
しかし、その機体を大きく損傷させることは出来た。


≪ほう、流石は秘蔵の新型。高性能だな。あの少尉の機体にここまで傷を付けるとは……≫


敵からの銃弾を軽くかわしつつ、こちらも銃で狙う。
そうしてしばらく均衡状態が保たれていたが、痺れを切らしたタオツーが単機突っ込んできた。


「剣戟戦は……!!」


エヴァはその体力面からも、剣より銃の方が得手だった。
右側のティエレン一機を打ち落とし、そちらに飛びながら全ての銃をタオツーに向ける。
しかし銃弾は機体を掠めるだけで、致命傷までは与えられない。
GNビームサーベルを構えると、すぐにタオツーのサーベルとぶつかった。
素早く後ろに飛んで距離を開け、この隙にルシファーの脇を抜こうとしたティエレンに射撃する。
二機が被弾したが、どれも致命傷には至らない。


≪余所見をするなッッ≫


 ガキンッガキンッ

鈍い音を立て、幾度と無くサーベルが重なる。




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