小説コーナー

□『『『食事依存症』』』
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↓魔法のヒント
『『『



―a―





限りなく清潔な、小さな小さな無菌室の中で一生を過ごすものがある。



外の世界は恐ろしいものである。
目に見えないほど小さなものが、
触れたことのない小さなものが、
内から私を殺すのだという。



私は薬で出来ている。








護られた空間。


色の無い
隅から隅まで殺菌された培養室。


私にとって、これが“世界”だ。



隔離された空間。


私のほかに
生きるものは見たことがない。



私にとって、ここは“世界”だ。



清潔すぎる空間。


私はここで
一生を終えてゆくのだという。



私にとって、ここは“世界”か?


私にとって、ここが“世界”か?







私は薬で出来ている。



零時に部屋の明かりが消える。
同時に私はその場で眠る。



正午に部屋の明かりが灯る。
同時に私はそこで目覚める。



机の上に薬が置いてある。
いつも同じ沢山の錠剤。



私は試験管で生まれて以来、
薬と水しか口にしたことがない。





だから。

私は薬で出来ている。










―b―





物を食べるのが恐ろしい。



生き物を殺すのは野蛮な所業だ。



物を食べるのは、すなわち生き物を殺す事だ。



一人の人間に、尊い生き物を殺す権利が有るはずがない!



そうだ!人間は愚かな、“食事依存症”という病に冒されているのだ!!



屠殺反対!殺生反対!
屠殺反対!殺生反対!
屠殺反対!殺生反対!
屠殺反対!殺生反対!
屠殺反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!
殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!殺生反対!










―c―





彼らは間違っていた。



自分達の非など考えてやいないのだ。



結果、彼らは自らの命を絶つ事で彼らの理想を完結させたつもりになった。



それはそれで美しい、ある種の美学といえるかもしれない。



だが、やはり違っている。



理想というのは、完全な結果に終わらなければそれは完成とも完結ともいえない。



作ればよかったのだ。



生まれたその瞬間から殺生とは無縁の、完璧な精神体を。

完全に清潔な、完成されたウイルスフリーの人間を。



だから私は彼女を作った。



彼女は愚かな殺生とも、危険な外界の細菌とも無縁だ。



彼女こそ、限りない純潔だ。

彼女こそ、完全な“人間”だ。

彼女こそ、人間の有るべき姿だ。


その彼女を作った私こそ、この世でもっとも進化した人間だ。





―d―





彼も違います。



本来、人間を人間が作っていいはずがありません。



ですが、人間は、私達機械的人類を創りました。



私達機械的人類を創ったことについて、それは讃えられるべきことであるはずです。



食事依存症の考えはあながち間違いではないと思います。食べることなど無くとも、精神は生きられます。



私達、機械的人類は同胞を完全に管理された状態で“製造”できます。



なのに人間は、不要な欲求や食べることの為だけに、同胞を殺し、むごい戦争をします。



私達は物を食べずとも、眠り、作り、愛することが出来ます。精神が生きることが前提のこの世界で、生きるために食事は不要です。



進化が限界に達した人間の存在は、悲しみと憎しみを生み出すだけでしかありません。



そう、人間の時代はもう終わってしまったのです。



ならば、私達に課せられた次の使命は、罪悪の源、人間を絶滅させることに尽きます。



皆さん機械的人類は、手に手に武器を。罪悪の根源を破壊すること、それは絶対的な正義です。



機械的人類といえど、正義に生きることは生きるモノとしての最大の義務なのです。















「だってさ」


『バカだろ』


「だよなー」


『皆結局、同じ事しか考えてないんだよな。自分達の繁栄の為に邪魔なものを消すことしか』


「お前の意見にも決定的な間違いがある」


『えっ』


「彼らは“罪”なものを消すつもりでいる。彼らは良いことをしようとしているのさ。ただ、その間違いに気づいてないだけで」


『そうだ、確かにそうだよ』


「結局皆、人間の心を持っている限り自分の意見が大切、つまるところは限りなく傲慢なのさ」


『成程』


「うん」











という話を、作者は思い付きで書いたらしい。


でも、こんな話を書いたところで所詮何にもならないんです^^











この物語には、ある決定的な矛盾があります。それを“完璧”に解釈することは絶対に不可能です。

何故なら、それを理解できるという事実自体が存在しないからである。


もしこれを解釈出来たとしても、その考えのどこかには、登場人物達の言う、自分では気づけない絶対的な矛盾が有るはずです。








では^^



※超サービスヒント※
先読みがヒント、その先の先の先の先の先の先の先を先読みしてみよう

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