読み物
□揺り籠
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ドスンッ!!
その大きな音から彼の生活は始まった。
「うぇ・・・ベットから落ちたぜ!今日も良い一日になりそうだな!!」
普通は『悪い一日になりそう』だが、
彼はごまかしていた。
「しかし、変な夢見ちまったなー・・。まっ!いいか!そんな日もあるさ♪」
リミットまで
・・・後、1年・・・
そんなことも知らず彼は生きていた。
明るく、元気な人。
これから始まる悲惨な人生なんて
知らなかった。
「今何時だー・・・?8時!?えっと、今日は高校に入学するから・・8時30分には着いていないといけませ〜ん」
「・・・・・遅刻するぅぅぅ?!」
バタバタと音を響かせ準備をする。
まず、制服に着替え。朝食を取る時間もないので、急いでドアへと向かう。
そしていつもの言葉。
「兄さん、行ってきます」
その言葉と同時にドアが閉まった。
彼以外にこの部屋には誰もいない。
でも、兄さんはいる。
今から向かう学校に居るのだ。
その事を彼は知らない。
(だって知ったら君は逃げるでしょ?)