読み物

□揺り籠
2ページ/4ページ

 

 ドスンッ!!

 その大きな音から彼の生活は始まった。

 「うぇ・・・ベットから落ちたぜ!今日も良い一日になりそうだな!!」

 普通は『悪い一日になりそう』だが、

 彼はごまかしていた。

 「しかし、変な夢見ちまったなー・・。まっ!いいか!そんな日もあるさ♪」


リミットまで
 ・・・後、1年・・・

 
 そんなことも知らず彼は生きていた。

 明るく、元気な人。

 これから始まる悲惨な人生なんて

 知らなかった。


 「今何時だー・・・?8時!?えっと、今日は高校に入学するから・・8時30分には着いていないといけませ〜ん」

 「・・・・・遅刻するぅぅぅ?!」

 
 バタバタと音を響かせ準備をする。

 まず、制服に着替え。朝食を取る時間もないので、急いでドアへと向かう。
 
 そしていつもの言葉。

 「兄さん、行ってきます」

 その言葉と同時にドアが閉まった。

 彼以外にこの部屋には誰もいない。
  でも、兄さんはいる。
 
 今から向かう学校に居るのだ。

 その事を彼は知らない。


 (だって知ったら君は逃げるでしょ?)
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ